パウル・クレー 「線」の人(パウル・クレー展 終わらないアトリエ) [アート]
私のブログではたまに行った絵画展のことを書くと、メインの記事よりアクセスが多いという、トホホな解析ですが、ずっとご無沙汰してた口開けは「パウル・クレー展」です。
平日行ったのにすんごい人。日本の人たちのダーイ好きなパウル・クレーさんならではですね。
毎年どこかでやってる印象の強いクレー展ですが、さすがに今回は「またかよ」と言われるのを回避しようと、昨今はやりの企画展です。
企画内容は、転写したり、切ったり、はったり、裏表で描いたりっていうクレーの飽くなきトライ(&エラー?)を、その技法別に展示してあることでした。
ちなみに
パウル・クレー 1879/12-1940/06
ワシリー・カンディンスキー 1866/12-1944/12
アンリ・マティス 1869/12-1654/11
ホアン・ミロ 1893/04-1983/12
パブロ・ピカソ 1881/10-1973/04
ジョルジュ・ブラック 1882/05-1963/08
さすがに同じ時代を生きていた彼らには、違うグループだったり地域だったりしても、すごく共通点があると思います。この頃の人たちって今までの絵画から抜け出そうととても実験的な構図や技法、モチーフ、表現をしようともがき、絞り出そうとしてた人たちですよね。
具象から抽象への時代。何もクレーだけじゃないとは思いますが、この展覧会では特に様々な面白いことをトライした人として技法とそれに呼応した絵画を取り上げています。作家や時代を掘り下げる意味でいい企画だと思います。
この前のレンブラントもやはりそういった企画展でしたが、彼だっていろいろトライしてたのが良くわかりました。
さて私感です。クレーは、多分上に掲載した絵のようなイメージで人気があるんじゃないでしょうか。きっと多くの人たちは「パウル・クレーって、色彩の構成が素晴らしくて幻想的で美しいわよねー。」って思ってるんではないでしょうか。またそこが人気の元のような気がします。
でも基本彼は「線」の人だと思います。今回の展覧会は特にそのことを感じさせるような絵が多かったですね。下の絵を見ると実は面で表現されてたと思っていた色彩が、線の間を塗ったものであることが良くわかります。
カンディンスキーと共にバウハウスでも教鞭をとっていた彼は、モチーフや表現にもそれっぽい物があって、特に線で描いた素描やそれを元に彩色した作品など「バウハウス感」が感じられて面白かったです。
ちなみに今回の私のピカイチくんはこの下の絵です。「入り江」。素描と転写(?)の2点ありましたがこれは素描の方です。間違いなく入り江です。岩や木や向こうの半島やすごく想像できますし、1本ではありませんが(4本)、一筆書きのような感じで描き上げています。しかもどこも破綻の無いすんばらしいライン。友人のイラストレーター野口さんと語り合いたい。
展示会は7/31までです。多くの作品を押し込んでるのでちょっと見づらいところがありますが、ぜひ。しかも中は作品保護のために涼しい〜。
http://klee.exhn.jp/
※イメージは図録および展覧会サイトより。
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