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穴をあけてみよう! [印刷方法]

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小さいときに、コーラのビンに指を入れて、抜けなくなったことがありませんか?
そうなんです。人間って“男女を問わず”穴を補填したい欲求を持っているんです。

婉曲的表現はさておき、「穴」、気になります。
本来そこは平面であるところに穴があいていることで、平面が立体感を演出します。奥行きが出来るからなんですね。元々気軽な平面的なもの(紙に代表される)を利用して立体を演出するのは、昔からいろいろ工夫されてきた魅力あるクリエイティブです。それによって生まれた「折り紙」や「飛び出す絵本」は、この分野の頂点です。最近だと先端宇宙技術の「ミウラ折」なんかもありますね。プリミティブな故に永遠です。

本の表紙やパンフレット,DMなどにちょっと厚い紙を使って、穴をあけてみる。さらにその穴の向こうに見えるものも工夫をしてみてください。ちょっとしたことですが、いつもと違ってとても楽しくチャレンジングなクリエイティブです。

穴は「型抜き」加工と言って、型を作り、それを使って穴を「抜く」作業が追加になります。料金的には型代と、加工費がプラスになりますが、型代そのものは5万円〜程度とそんなにびっくりするほど高いものではなく、魅力あるグラフィック制作物を作るにあたっては、トライする価値のあるものと思います。
また、表紙だけではなく、すべてのページ、または裏表紙以外のページにいろいろな形で穴をあけてくのも面白いですね。同じ形でちょっとずつ小さくするとかもいいと思います。

ぜひチャンスがあったらトライしてみてください。作った側も、もらった方も「穴だけに」充実感あります。

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マン・レイ展 [スタイル]

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そろそろ空いて来たかなと、「新」国立美術館の「マン・レイ展」に行ってきました。写真を撮られる方が多いようなので、行かれた方も多いんじゃないでしょうか。

「黒と白」や、「アングルのヴァイオリン」(女性の背中の写真に弦楽器のfホールを描き込んだもの)などのちょっと変わった写真で、シュルレアリズムの写真家というイメージの「マン・レイ」ですが、今回は写真以外のドローイングや彫刻、サイレント映画なども多く展示され、「マン・レイ」の、芸術家としての全体像がよく見える展示内容でしたね。

このころの「ダダ」「シュルレアリズム」時代の芸術家は手法にとらわれずに、あらゆる可能性を模索した人が多く、マン・レイも、まさにそういう人でした。
一度「螺旋」の項で紹介した、マルセル・デュシャンも様々な可能性を芸術として表現して来た人で、マン・レイとも親交がありました。
マン・レイは生活の糧として始めた写真でさえ、芸術的表現のモチーフとして工夫をし、後世に残る作品と技法を生み出したのです。

私が今回感じたのは、近年の芸術家で従来の枠を飛び出して、自由に表現を展開した人たち、ピカソやマティス、ダリ、クレー、藤田にしても、ちゃんとした絵(表現に問題がありますが、分かりやすい意味で)を描かせるとものすごくうまい。今回のマン・レイのドローイングもご多分に漏れず、素晴らしい絵の才能と基礎技術を感じました。
「しっかりとした基本の上での発展」「正攻法を知った上での打破」「古くからあるベーシックな価値感の上に立つ奔放」。「きちんといい直球を投げれるピッチャーによる変化球」
私たちがクリエイティブをする上でもとても大事な要素だと思います。

※マン・レイ展は9月13日までやってます。

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改行の字切り [グラフィックデザイン]

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今日は細かい話ですが、デザイナーには大事なことです。

文字の多い文章を組んでいくのにいくつか方法がありますが、横組を例にとれば、ひとつは左揃えとかツメ流しとか言われるパターンで、これは左側を揃えて右側は文章の途切れる句読点で送る場合がほとんどなので、改行に悩むことはあまり無いでしょう。

もうひとつは箱組または左右揃えと呼ばれる「カラム」で組んでいく場合で、文字組の左右幅が決まっているので、何も気にせずに組んでいくと文章の変なところで切れてしまいます。
ブログやサイト、新聞のように文字が等間隔で並んでしまうものは、どうしようもないのですが、広告やカタログ、パンフレットなど文字詰が出来る媒体の場合には、改行の字切りに注意して組んでいくことができます。

基本的には「読みやすさ」が元になっていますが、禁則事項として、ひとつの発音として取り扱われる「ん」や「小さいや・ゆ・よ」、「—(音引き)」などを含む例えば「ほん」「ビン」「きょ」「みょ」「しゃ」「しゅ」「まー」「かー」などの途中で切ってはいけません。右と左に離れてしまうと、ひとつの言葉として読めないからです。
また、当然と言えば当然ですが、名前の途中、金額や年号などの数桁の数字などの途中なども切ってはいけない筆頭です。
さらに、出来ればひとつの単語の途中で切りたくないですね。特に外来語のカタカナ、例えば「プリンター」。上の禁則事項で言うとプかンの後でしか切れないのですが、変ですね。

このように、読みやすさを基本として字切りを考え、なおかつ全体にはすごく間隔があいたり、詰まったりすること無く(これも非常に大切です)文字を組んでいくのは大変な作業で、どうしようもないときにはコピーライターに相談して、文章の意味をあまり変えずに、ちょっとだけ文章を調整してもらうこともあります。

上記の内容を考えると、カラムの幅があまり短いと苦労が絶えなそうです。また、1行があまりに長いのもとっても読みづらい。よって、1行の文字数をだいたい18〜38文字くらい、出来れば20〜35の間におさめると読みやすく、かつ無理の無い文字組が出来ると思っています。

今日のこの内容をきれいな文字詰とあわせてきちんとできれば、ワンランク上のデザイナーと思われること間違いなし。(かな?)※長くてすみません。

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景気の良し悪しと文化 [閑話]

民主党は党首選挙に熱心で、中々落ち込んだ株価や円高に手が回らないようですが・・・。

過去を見る限り私たちに関わりのある文化は、好況のときに促進するようです。まあ、頭で考えても分かりますよね。無駄なお金がないと遊びにいけないのと同じです。

江戸時代、一番文化芸術が促進したのは、元禄時代です。尾形光琳、俵屋宗達、松尾芭蕉、近松門左衛門、市川団十郎など江戸を代表する文化人の多くはこの時代に活躍しました。経済的にバブルがあった時代です。
近々では、平成のバブル期には、企業も何もしなくても物が売れる状態なので、利益をいい広告や企業メセナと呼ばれる文化芸術に拠出しました。私たちも「売れる」ということよりも企業イメージを高める、競合他社よりクオリティーの高いものを求められました。
良いものを作って評価されれば、さらに良いものを作ろうとみんなが競争します。そこが文化が促進する原動力なのでしょう。また、競い合って作ったクオリティーの高いものは必ず後世に残ります。

もちろんその時代がいいことばかりではなく反面、弊害がたくさんあったはずです。逆に浮かれた世の中で大きく失敗したりする人もたくさんいたと思います。ただ、芸術・文化という分野はある程度の経済的余裕が必要なようです。

私たちの周りも事務所を引き払ったり、職を変えたりする人もたくさんいるようです。世界的な経済の閉塞感もあるとは思いますが、もう少し余裕のある状況になることを願っています。

今日は画像が無くてごめんなさい。

タグ:文化 景気
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食欲増進色 [カラー]

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「青」の項で少し触れた「食欲増進色」。
すばりちょい濃いめのオレンジ色。もちろんそれの要素である「赤」「黄色」の組み合わせも。
周りを見回しください。吉野家や、すき家、松屋、デニーズ、オレンジまたは赤、黄色の組み合わせです。
おいしそうな食品の色が基本になっています。トマトソースパスタ、オムレツ、お肉全般、エビグラタン、ピザ、フライ、お好み焼き・・・。
赤みがある茶色系統も仲間でしょう。焦げ目の色、シチューの色。

緑色は難しいです。緑色は寒色です。緑色系列のみの使用は食欲減退になります。グリーンサラダってだめなんですよ。プチトマトとか入れるとオッケイです。逆にパセリや青のりなど食欲増進色の補色としてはオッケイです。

寿司店や和食系で青を使ってるのは、色の薄い魚などの色みを反対色によって暖色系に(食欲増進系に)持っていくためだと思います。(もしくは藍染めののれんなどの色の引用)
飲み物も清涼感や透明感、冷え感などを表現するために食欲減退色の「青」を使いますが、食欲の無いときに、液体なら入るように、食欲とは別のところにあるから気にしなくていいのだと思います。

色に関する仕事をなさってるデザイナーの方など、夏には季節感を表現するために「青」を使いたくなるかもしれませんが、上記を頭のスミに入れつつ、注意深くやってください。

Photo:Kazunori Ohi  ©CHICAGO PIZZA 転載はできません。ご了承ください。


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ちょっと欲求不満 [クリエイティブ]

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ちょっと前のマーク&ロゴのところで「分かりやすさ」と「?」でコメントをいただいたので気を良くして、今日は「ちょっと欲求不満」です。
今日の仕事の電話でその話題が出て来たので、皆さんも参加ください。

人の習性って、いっぱいありますね。その中のひとつが、「完全にオープンなものより、ちょっと隠されたものにグッと興味がわく」です。
男の子なら、「スカートの中」と言えばとても分かりやすい。スカートの中のパンツを見たいという欲求は水着のパンツ(だけを見たい)のときより明らかに高いと思います。(下世話ですみません。もちろん違う人もいるでしょう)
クリエイティブも特に現在は、いろいろなメディアミックスでアプローチしているわけですから、それぞれのメディアで全部言い切らないことも大事な戦略です。「もっと見たいな」と思わせたら成功です。
「なんだかすごそうだぞ」「こんなことが出来るみたいだけど、あんなことはどうなんだろう」「部分的には格好良さそうだけど、全体はどうなんだろう」「実際に手に取ってみたいな」
例えばコンピュータをつけた時から、テレビのスイッチを入れた時から、雑誌を開いた時から実際の売り場や、セールスマンと話すまでなどを想定して、興味を持続させるように組み立てる。そんなことを頭に入れながらやってみてください。

よく、発注側から「あれも入れてくれ」「これも入れてくれ」などと注文を受けることが、多々あると思います。お金を使ってメディアを買ってるんだし、制作費だって、少なく語っても多く語っても変わるわけじゃないんだから言いたいことは120%入れてちょうだい!・・・ってたしかにお金を出す側だったら思っちゃうでしょうね。上司にも「ここまでちゃんと言ったんだから、大丈夫です」って言いたい。でも、逆効果なことが多いです。

「言葉数少ないのに、なぜかいつも気になるあいつ」か「いつも必要以上に語りまくるあいつ」か。コミュニケーションもエコの方が、人の心と行動を刺激するようです。

※サンプルは車のイメージブローシャ表紙。車のボンネットに人が写っている。車の全体像を見せず、画像の状況を分かりづらくすることで、中を開けてみたい興味を喚起する。

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写真のディレクション [写真]

このブログは写真を撮られてる方に見ていただいてるようなので、今日は写真のディレクションについてです。
広告やパンフレットなどで使用する写真は,私たちが、「こういう画像が欲しい」というディレクションの元に撮影される写真で、多くの方がブログに載せられている、「目に留まった美しいシーンや自分が撮りたいモチーフを自分のスタイルで撮る」というのとは、まったくの別物です。

コミュニケーションに必要な画像を写真にすると決めたら、ラフスケッチを何案か描きます。最近ラフスケッチを描かない人が多いようですが、最終的な上がりをぶれないようにするためにも結構必要な作業だと思っています。
いくつかに絞って考察を重ね,提案。決定したらカメラマン、必要に応じてスタイリスト、ヘアメーク、モデルをキャスティングし、方法論や場所、ディテールなどについて打ち合わせをします。だいたい1回では終わらず、準備過程において数回打ち合わせます。

実際の撮影ではディレクターは、ラフスケッチによって自分の頭の中に出来上がった画像と、実際にテスト撮影したものの差を見ながら調整します。もちろん、自分の予想より偶然やスタッフの才能により、よりいいものが上がる予感も出てくる場合があります。いわば実際の撮影現場は、自分のイメージの「定着作業」と言えるでしょう。

もちろん、最近はコンピューターによる合成技術のおかげで、撮影現場では合成するパーツを撮っていき、最終的にはパソコン上で定着することも多く見られます。その場合は、さらに自分のイメージをきちんと持ち、必要なパーツを頭の中で組み上げる作業が必要になってきますね。

アートディレクターの中にもいろいろいらっしゃって、わりと大まかなイメージのみで撮影に臨み、但し1を聞いて3にも4にも出来る非常に優秀なスタッフを使うことで、良いビジュアルを生み出す人もいますし、自分のイメージを究極まで頭の中で固定化しきっちりと実際に再現することを求める人もいます。
一見前者はかっこうよく見えますが、もちろんリスクは後者より大きいです。後者の場合いいものを作るためには、経験値や自分の才能を信じる能力が必要になってきます。

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記号 [グラフィックデザイン]

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ダン・ブラウンの「ロストシンボル」を読みました。
ダヴィンチコードでおなじみのこの著者の最新作は「フリーメイソン」についての内容で、「記号」を物語のキーポイントとして取り上げています。

元々宗教上の秘密儀式に非常に興味を持っているであろう筆者の取り上げたフリーメイソンの記号は、平易な一般の文字では書けない、口伝に近い人間を進化させる修行(儀式)のためのものとして登場するので,非常に神秘的な魅力を放ち、読者の興味をぐいぐいと引きつけます。
このフリーメイソンのような修行(儀式)は、錬金術や、密教、ヒンズー教など昔から様々な宗教で行われており(内容も根本的には近いような気がします)やはり伝達手段として記号や特殊な文字が使用されているようです。

いずれにしても「記号」は、何かを伝えるためのビジュアルサインで、究極シンプルなグラフィックデザインだと思います。さらに文字もまさに記号の一種と言っていいと思います。
たくさんのグラフィックデザイナーや,著名なアートディレクターなどが、世界の古い文字などを研究されてますが,視覚伝達を仕事にしている我々が興味を持って当然のアイテムです。非常に魅力的ですよね。

ちなみにロストシンボルでメインキャラとして(?)登場した丸の中に小さい黒丸のマークは、とてもたくさんの文字や記号で使用されているスター選手で、参考文献によると野球記号のバントの空振り、チェス記号のツークイックワン、ヌミディア文字のb、宇宙文字の「中」、ムー語のA、ユートピア語のF、ブラーフミ文字のtha、生物学記号の一年生植物、ドルトン原子記号の水素、さらに太陽を表す記号にも似ています。

参考資料文献、転載:星雲社発行、松田行正氏の「ZERRO」より


マーク&ロゴタイプの考え方(1) [クリエイティブ]

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マーク&ロゴタイプの制作は、かなり純粋なグラフィックデザインなのですが、アイデア段階ではきっちりしたアートディレクションが必要になります。
デザイナーという職に就いたら多かれ少なかれマークや,ロゴの制作を頼まれたりした経験があると思います。知り合いの洋服屋さんや飲み屋さんから企業まで、発注元は様々だと思いますが、デザインをする楽しさと、それをお店や会社の人が名刺や看板に入れて(多分)長いこと使ってくれる充実感や高揚感もあります。だからこそいいものを作らなければいけない責任感もあるでしょう。

まず、マークとロゴタイプっていつもくっついて考えるもののような気がしますが、実際はロゴタイプだけでも、デザイン的なものはそれ自体がマーク的な要素を持っていたりします。
マークが必要なのか、ロゴタイプだけでいいのか、マークにロゴタイプを組み込んで一体としてデザインしたら良いのかは、使用目的や,使用場所、企業やお店のジャンル、およびスタンス、さらには時代性なども考察要素のひとつでしょう。

マークには少し前に書いたキャラクター的要素もありますから、たとえば商品等に展開する必要があれば,有効ですよね。上手なデザインで商品も優秀なオリジナルでいあれば、うまくブランド化への即効性のあるビジュアルアイデンティティーになってくれるはずです。たとえば車のメーカーなどは「エンブレム」という重要な需要があります。日産のように逆にエンブレム的なマークをあえてCIとして使ってる企業もあるくらいです。
逆にアパレルなどはあまりマークを好まない傾向にあります。キャラクター的要素を持つマークには取っ付きやすさもありますが、反面イメージを固定化、限定化させる嫌いもあって、時代とともに変化していく商品を提供しなくてはいけない業界の場合は、マークなど強いイメージを表現するものは逆に足を引っ張られる可能性があります。

私はマークをデザインするにあたってについていつも考えるポイントがあります。それは「分かりやすさ」と「?」です。発注主によっては「分かりやすさ」が大きな要素になる場合がありますが、逆に「これはなんだろう」的要素を入れることでマークにこめた企業やショップの思いや哲学を、お客さまとのコミュニケーションの手段として使うことで、「なるほどね」が、よりポジティブな効果を発揮する場合が多いからです。
サンプルは、以前に書いたワインショップのロゴマーク(右)で、形はワインセミナー会社(左)と共通です。一見、曲線で構成された抽象的な形に見えますが、実はグラスの中でワインを回す「ワインを感じようとする時にやること」を「五感」という名の会社のストーリーとして表現しています。使う側もそれが受け手の「なるほど」につながると、うれしいものだと思います。

タグ:マーク ロゴ
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 [閑話]

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今日は出張が入ってしまったので,夏休みに撮った「あそこだけ雨が降ってる」写真でお許しください。
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