アンダーな写真 [写真]
大部分とは言いません。どのくらいかは分りませんが、それでも多くの人々が「暗い写真」に心を惹き付けられます。
恐いもの見たさでしょうか? いつも明るい部分にいるから(非日常だから)? 影があるということは光があると知っているから? 暗い中のほんの少しの光に救いを見いだすから?
写真家には暗い写真を好んで撮る人たちがいますよね。トップの写真はわたしの好きな写真家「Matt Mahurin」(マット・マハリン)の撮った「トム・ウェイツ」のアルバムジャケットです。彼は写真だけでなく絵やフィルムなどもやっていますが、徹底的に暗い表現にこだわっています。
Photo:Matt Mahurin
日本の写真家だと「江角マキコ」の写真集を出した藤井保さんなどがとても黒い写真を撮りますね。藤井さんの撮る写真の黒には、マット・マハリンのようなざらついた少し乱暴な暗さではない、日本人特有の滑らかで緻密な上品な黒さがあるような気がします。
日本の広告表現上では暗い写真は特に発注企業側に非常にいやがられます。この話をコピーライターの友人にしたところ、「マグライトの広告は暗かったよね」と、教えてくれました。あの場合には、「闇を照らす」という大義名分がありますが、基本的には企業イメージが悪くなると受け入れられないことがほとんどです。新聞広告などの場合には新聞社にまで、べったりインクを使う真っ黒な広告はいやがられます。
ところが、欧米では「暗い」「黒い」に、「上品さ」「リッチ感」「ハイエンドイメージ」を重ね合わせます。悔しいですが、暗さに対する感覚は、向こうの方が一段大人です。日本人のように闇雲に怖がらない、闇に対するイメージの違いもあるのかもしれませんね。
ポーランドのウォッカの広告です。
Matt Mahurinの制作動画です