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ターゲット [クリエイティブ]

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広告やPRの仕事は、必ずオリエンに「ターゲットは・・・」と入ってくると思います。ぼんやりとしたターゲットの時もあるし、スゴく狭い時もあります。
それは年齢、性別だけではなく、たとえば「ゲーム好き」と言ったような場合もありますよね。趣味、生活動向、年収、住所など。

「広く多くの人に」といった場合には、クリエイティブは非常に最大公約数的になります。それでも良いクリエイティブが出来ない訳ではありません。例えばソフトバンクのお父さん犬のシリーズのように、「動物」というみんなが好きな代表アイテムを使い、いろいろな年齢層を家族という設定で使いながら、物語で多くの人の「良いね」を引き出しています。
ターゲットが狭い場合には、きちんとターゲットのことをつかめば非常に尖ったぐさりと突き刺さるような戦略が取れます。クリエイティブ的には面白いです。でもいかんせん的が小さいので、投下時期、媒体選びなどきちんと狙いを定めないと効果が微妙にずれちゃったりします。

最近のデパート系のカード会社の仕事では、クライアントは特典の多い魅力的なゴールドカードへの切替、加入の促進のために今までのターゲットと共に、新規のターゲットの掘り起こしを狙って若年層に向けても発信をしました。ゴールドというのはある程度収入に制限があり年会費もありますから、これはある種トライです。

私には大変具体的なターゲット像が示され、そのため非常にスムーズにクリエイティブできましたが、私の方からの紙質や、大胆な色の提案なども含め、思い切って受け入れてもらいました。(画像)
結局これは大成功をおさめたようで、こちらもうれしいですが、クライアントの企画力と先見性、またクリエイティブに対する見識に脱帽です。

若いうちに、年寄り向けの仕事を頼まれてもピント来ないと思います。ターゲット設定と戦略はマーケッターだったり、企業の企画担当だったりするのですが、それを具体的に制作物に定着するのは我々の仕事です。
クリエイティブはある種感覚的な部分が大きいので、普段から色々な物、人、流行、人が興味を持つ物などに、好奇心を持って接していることが非常に強みになります。

「生きてるだけで丸儲け」は、某お笑いの大御所の言葉ですが、「人生全部がクリエイティブの素」が私たちクリエーターのやっててよかった的な側面ですね。

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自分の給料ってどうなのよ? [ベーシック]

デザイナーからディレクターになると全体予算や実行予算、見積りなどにも関わって来なくては行けないと以前書いたような気がしますが、今日はクリエイティブとは関係ないお金の話です。

会社に入ってる方は、自分の給料が多過ぎんじゃない?って思ってる人は相当少ないですよね。だいたい、「もっともらってもいいじゃない?」「この労働時間でこの給料は無いよね」なんて思ってるんじゃないでしょうか?
誰がどんだけ稼いで、って言う計算が出来にくい一般企業と違って、私たちの業界は、その気になれば自分の稼ぎ(給与ではなく)を計算できたりします。自分の稼ぎや仕事のお金の仕組みを知ることは、後々フリーランスになったり、独立した時にも必ず役に立ちます。
これから書くのはちゃんとした計算方法ではないし、会社や、細かい分野によっても違うと思います。
あくまでも参考として。

自分の関わってる仕事1年でも半年でも(1ヶ月だと、それ以上の仕事が多く、短すぎる)売り上げがどのくらいか管理職か営業にでも聞いて把握してみてください。その中で実行経費分(カメラマン、スタイリストなどの外注費、印刷費など)を引き算してください。

今度はその荒く計算した利益分がどのくらいのスタッフで成し遂げられているのか、または自分の役割はどのくらいのパーセントかを考えて、割ってみてください。もちろん仕事によってスタッフが違う場合にはぞれぞれの仕事毎に。
営業さん、デザイナー、コピーライターと3人でやってるとしたら、仕事の拘束時間、重要度から考えてデザイナーは40%程度と換算していいでしょう。
最後に出た数字を月で割ってみて、その数字が自分の給料の2倍以下なら、良い給料をもらっています。2倍以上なら会社に貢献してるかな。

給与には福利厚生がついていると思いますが、会社が天引き分の倍を国に払ってますので(個人負担は半分)交通費などと合わせてだいたい30%、会社の家賃の割分、機械、施設、電気、ガスなどの使用費が20%、事務、経理などの人への給与分10%〜、そして会社の利益が20〜30%〜(上に高給取りがたくさん控えているともっと厳しいかも)その他にも夜の食事代やタクシーなどの交通費などいろいろあると思います。
もちろん会社によっても、またひとつの仕事に関わる人数の違い、関わる人の給与の差などもあると思うので、一概には言えません。ご了承ください。

ただ、これ見て、ざくっと想像で計算しても「自分の給料分稼ぐのって結構大変だな」と思う人が多いんでは無いでしょうか。パートやアルバイトのように時間給計算ではないのが我々の良いところでもあり、大変なところでもあります。(こだわって、時間かけてももうけは一緒ですから。もちろん後々効いてきますけどね)

新入社員やアシスタント職は、がんばって自分の稼ぎを計算できるようになってくださいね。そうなった時に初めて会社に対して交渉ってのが出来るようになります。「他がこんなにもらってるのに」は、まったく説得力無しですよ。

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※月曜日には出張撮影がありました。制約だらけと言って良いスタジオでは無い室内の撮影。いろんな要素を素早くチェックして、短時間で最良の答えを出す経験値と判断力が必要です。写真は経験豊富な石崎カメラマン。いい顔してます。


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20世紀のポスター展 [グラフィックデザイン]

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さて、なかなか更新できないでいますが、時間を見つけて庭園美術館の「20世紀のポスター[タイポグラフィー]」に行ってきました。きっとすでに行かれた方も多いかと思います。

タイポグラフィーをモチーフにしたポスターを中心に1900年から1990年代までの代表的な作品を時系列的に見せる展覧会で、とくに昔の作品は初めてのものも多く興味を持って見ることができました。

イラストや写真では伝えきれない、またそのようなものを排除してシンプルにコミュニケートしたいなどの時に、また作家がタイポグラフィーによる表現が好きだっていうなどもタイポグラフィーを使ったポスターを制作した理由だと思います。いずれにしてもコミュニケーションアートとしての広告が、このジャンルを生み、育てていったことは間違いないんじゃないでしょうか。
たとえば文字を使ってストレートに表現したいと思っても、そこには差別化や、多少なりとも雰囲気を伝えたい理由からグラフィックデザイン的な「工夫」を施します。それこそがこれらのポスターの原点だと思います。とくに古いものは「文字を工夫して、デザイン的に素敵に見せたい」という制作者の心がよくあらわれています。

いくつか気になったものを載せてみます。
最初のものは1927年のスイスの工作連盟の展覧会のポスターです。
文字をデザインの要素として使用するというシンプルな工夫がタイポによるグラフィックの原点的ですね。

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1949年のオリベッティー社のポスターです。文字は一つずつ手書きで作ってるようです。タイポグラフィーによるタイプライターの会社の広告。イタリア的な色彩が美しい。

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1951年のNEW YORK TIMESのポスターです。シンプルに黒い罫線で区切った中にカラフルな文字を配していて、良く見るとロゴに合わせて左から右へ少しずつマスが大きくなっています。ちょっと今のラップのように企業メッセージををリズミカルに表現していますね。

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少し新しくなって1992年のモダンジャズカルテットのコンサートポスター。スミ文字のみ。ジャズだけにクールです。

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最後は1993年のハムレットの公演ポスターですが、頭文字の穴が奈落の底につながってるようなハムレットの苦悩を見事に表現している、今回の中では特に気に入った一枚です。

現在ではなかなかこのようなアーティスティックなポスターを見ることは少なくなりましたが、やはりポスターという大きな面積の中で思い切りグラフィックデザインを構成しているのは見てて気持ちのいいものです。また、作るほうも腕が鳴る現場ですよね。レコードジャケットのように消えていってほしくない媒体です.

このほかにも素敵な作品がたくさん。3月27日までやってます。興味があったらぜひ見に行ってみてください。
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食の撮影2(撮影篇) [写真]

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間が空いてしまいました。

自然光で撮影の場合、ご存知のように自然光を商品に直接あてると陰影がはっきりしすぎますよね。ディフューザーを使ったり、いろいろな方法論がありますが、商品の色をある程度きちっと出すためにストロボを併用しています。
また、商品自体には自然光を直接いれずに回って来た光にストロボ光を補うような照明で撮影をしました。自然光自体は、周りに置いた瓶や小物、鉢植えなどにあてて、光の演出を行います。

今はデジタル撮影が主流ですので、カメラマンはデジタルカメラ、マックのノートと、私やクライアントがチェックしやすいように大型モニターをつないでいます。

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彼は、スタジオのストロボを借りると、それぞれの機械に合わせて測定して計算しなければならないことを嫌い、すべて自前で持ってきます。完全にカメラマンのこだわりですが、私たちにはレンタル料がかからず、お財布に少し優しくてうれしいです。

いくつか商品を撮影する中で自然光ではないパターンもあります。その場合には自然光の入るスタジをの窓をすべて黒で覆って、ストロボの光のみのコントロールが出来るようにします。

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ちょっとした部分の遮光には、ハンズなんかで売ってる黒い発砲スチロールのレンガを使ったりします。(下)「ちょっとそこ明るすぎない?」なんて時にびっくりするほど効果を発揮してくれます。
右にちらっと見えるのは「溶けない氷」ぜんぜん秘密ではない秘密兵器です(笑)

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そうして撮影した画像を今度はレタッチをしていく作業が待っています。
例えばピザの場合などはきれいな円形になってなかったり、ハーフやクォーターがはっきり分かれていなかったり、具材の色が悪かったり、焼けすぎたりなどの補正を細かく行います。
そんなことするんだったら、どんな画像でも元になるものがあれば良いじゃんと思いがちですが、元がよければ仕上がりも全然違います。また、嘘をつかない、より自然な形で見せるためにもメイクさんには悪いですが、何個か同じものを作ってもらい、撮影して一番よいものに手を入れるようにしていきます。

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私たちの立場で撮影に対して大事なことは、最終仕上がりのイメージをきっちり持つことだと思います。大きなコミュケーションイメージだけでなく、写真の上に乗っかる文字のことまでも考える必要があります。そのイメージのおかげで、スタイリストに小道具などの指示も出来、カメラマンに明確な説明も出来ます。
但し、あくまで現場なので、現場でのブレや、スタッフのよりよい提案などにも対応できる幅を持っていることが大事かと思います。

※撮影の話はカメラマンに了解を取っています。カメラマンのブログは一度以前に紹介しましたが
http://fotorecipe.exblog.jp/
※最後の画像は、昨年同時期のメニューです。この頃はまだポジフィルムを使っていました。

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食の撮影1(メイク篇)

前にも一度書きましたが、金曜日に撮影があったので、その模様を。
食の撮影などの経験があまり無い方には参考になるかもです。

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スタジオは初台にあるキッチンスタジオです。いくつかキッチンスタジオを使ってみましたが、スチルではここが僕的にはベストかな。たまに動録などもやってるので、ムービーを撮るチームもいるようです。
新しい商品なので詳しく見せられ無いものがあったりしますがご了承ください。
まず、フードスタイリストが食材を準備します。

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ここが大事ですが、特の食品の商品そのものを撮影する場合(例えばうどん、そばなどが商品で、その盛りつけ例を撮る場合とは違います)、食材の種類、大きさ、使用数などは「嘘」がつけません。
但し、プロが良いものを選んで、美しくカットします。やっぱり撮影のためには与えられた条件の中で、ある程度「美しく」仕上げることが必要ですよね。
写真と実物の「実質的な」違いが出ないようにしつつ、実際のかなり理想的状況を作り出して、最高のものを撮るって感じです。

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金曜日はピザでした。宅配ピザではおなじみのクアトロスタイルのピザを作るために、このようなツールをオリジナルで作ったりしています。熱で溶けて具材が移動するので、ある程度間を空けて作るとはっきりと別れた感じに上がります。

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天板などは、天板などを中心として扱うスタイリスト御用達の撮影レンタル屋さんから借りたり、無いものは自分たちで作ったりします。

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その他のものも、スタイリストにイメージをきちんと伝えて、その世界を表現できる小物のなどを用意してもらい、現場でセッティングします。
今回のメインは夏に向けての商品ですので、自然光の入るスタジオの部屋を選び、天気がよければ自然光を取り入れた撮影を選択します。金曜日は大変天気に恵まれました。

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(次回、撮影篇に続きます)

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季刊銀花と和のデザイン [エディトリアル]

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忙中閑ありではなく、閑中忙ありで、この不況下、少し時間が出来てブログでもと思ったのが、年末よりこの1、2月と仕事が続いており、とてもありがたいことですが更新がうまく出来ずにすみません。
気軽に書けるような内容にしなかったのが失敗ですね(笑)

さて、昨年2月にひっそりと休刊になった、知る人ぞ知る雑誌「季刊銀花」のことにちょっと触れようと思います。
内容については多くの人がネットやブログで取り上げてると思いますので、そちらにお任せしようと思いますが、昭和45年(1970)に創刊以来「和の文化」を連綿と伝え続けて来た、その道が好きな人にはバイブルのような本です。

デザイン的には、あの杉浦康平さんが手がける表紙のデザインが非常に有名で、私も昔会社勤めの頃に先輩よりこの本を教えてもらって目から鱗が止めどなく落ちたのを良く覚えています。

まず、縦組を主とする和文を基本にしたレイアウトで、これほどデザイン的に仕上がるものかとびっくりしたのがひとつ。
表紙に文字をたくさん入れるという大胆なこともそうですが、和文の組自体を切り抜いたオブジェクトの周囲に合わせて改行したり、斜めにしたり、カラフルに色を付けたりと、まるで文字がデザインの重要なパーツとして存在することは、大変新鮮でした。

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とにもかくにも「今までやって来たこと」や「定番」や「雑誌っぽさ」から、限りなく自由なデザイン。
お固そうな内容の本なのに、この表紙のせいで、とりあえず見てみようかなと思わせる、ちゃんと目的を必要以上に果たしてるところも素晴らしいです。ちなみに表紙は、レコードじゃないけど両A面になってます。
もちろん、今では色々な工夫がされてる雑誌はたくさんあると思いますが、この当時としては非常にラジカルでした。

内容的には、雑誌販売部数などまったく考えてないんじゃないかというようなゴーイングマイウェイの典型のような内容ですが、編集も、デザインもまったく手を抜いてないことも、40年近く続いて来た理由のひとつなのかもしれません。

杉浦さんは表紙のデザインとされてますが、もちろん中も大胆で、革新的で、素敵なデザインで構成されています。

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もし古書店などで見かけたら、創刊年は非常に高いようですが、それ以降のものはわりと普通な価格で手に入りますので、一冊くらい持っていてもとても楽しいし、参考になると思います。

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