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20世紀のポスター展 [グラフィックデザイン]

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さて、なかなか更新できないでいますが、時間を見つけて庭園美術館の「20世紀のポスター[タイポグラフィー]」に行ってきました。きっとすでに行かれた方も多いかと思います。

タイポグラフィーをモチーフにしたポスターを中心に1900年から1990年代までの代表的な作品を時系列的に見せる展覧会で、とくに昔の作品は初めてのものも多く興味を持って見ることができました。

イラストや写真では伝えきれない、またそのようなものを排除してシンプルにコミュニケートしたいなどの時に、また作家がタイポグラフィーによる表現が好きだっていうなどもタイポグラフィーを使ったポスターを制作した理由だと思います。いずれにしてもコミュニケーションアートとしての広告が、このジャンルを生み、育てていったことは間違いないんじゃないでしょうか。
たとえば文字を使ってストレートに表現したいと思っても、そこには差別化や、多少なりとも雰囲気を伝えたい理由からグラフィックデザイン的な「工夫」を施します。それこそがこれらのポスターの原点だと思います。とくに古いものは「文字を工夫して、デザイン的に素敵に見せたい」という制作者の心がよくあらわれています。

いくつか気になったものを載せてみます。
最初のものは1927年のスイスの工作連盟の展覧会のポスターです。
文字をデザインの要素として使用するというシンプルな工夫がタイポによるグラフィックの原点的ですね。

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1949年のオリベッティー社のポスターです。文字は一つずつ手書きで作ってるようです。タイポグラフィーによるタイプライターの会社の広告。イタリア的な色彩が美しい。

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1951年のNEW YORK TIMESのポスターです。シンプルに黒い罫線で区切った中にカラフルな文字を配していて、良く見るとロゴに合わせて左から右へ少しずつマスが大きくなっています。ちょっと今のラップのように企業メッセージををリズミカルに表現していますね。

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少し新しくなって1992年のモダンジャズカルテットのコンサートポスター。スミ文字のみ。ジャズだけにクールです。

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最後は1993年のハムレットの公演ポスターですが、頭文字の穴が奈落の底につながってるようなハムレットの苦悩を見事に表現している、今回の中では特に気に入った一枚です。

現在ではなかなかこのようなアーティスティックなポスターを見ることは少なくなりましたが、やはりポスターという大きな面積の中で思い切りグラフィックデザインを構成しているのは見てて気持ちのいいものです。また、作るほうも腕が鳴る現場ですよね。レコードジャケットのように消えていってほしくない媒体です.

このほかにも素敵な作品がたくさん。3月27日までやってます。興味があったらぜひ見に行ってみてください。
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