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和紙に刷る『レンブラント展』② [アート]

恥ずかしながらこのことは知りませんでした。
同じ版を利用して和紙、中国紙、ヴェラム(皮紙)、通常のエッチング用紙と刷り分け(使い分け)たりしていたんです。(途中で加筆などもありますが)

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※1655「エッケ・ホモ(部分)」上から和紙、ヴェラム、西洋紙

見た目にはやはり版画用の紙が一番「ぽく」見えます。それに対して和紙やヴェラムは、吸い込みがあるので墨の線がにじんで見えます。特に暗い部分に関しては、たくさんの線のインクが混ざり合ってより濃い影(闇)になっています。
これがきっと彼が気に入った要因なんでしょう。和紙やヴェラムは非常に高かい上に枚数を刷れないので上顧客、お金持ちコレクター様用、通常の西洋紙はそんな高くないので一般顧客用と考えられているそうです。

イヤー面白いですね。紙によって版画の感じがずいぶん違うのも面白いけど、まず刷り分けてみようと思ったことや経済的な要因もあったりで、ちょっとだけ私たちの数種校正(校正の時に色々な紙を試してみる)にも通じるところがあり大変興味深く思いました。

いずれにしても、今まで線に頼ってわりと平坦ぎみだった版画に絵画的な明暗(キアロスクーロ)を取り入れ、油彩も含めて彼の生涯を通じてそのテーマがぶれなかったこと。それに対して、その表現を追求するために様々な技法を試みた点など、レンブラントという一人の表現者が少し理解できた良い機会でした。
プリントという工程を経ることで表現の幅を広げる・・。きっと今に生まれたら画家以外の道を選んだかもなあという思いがよぎりました。

ぜひチャンスがあったら行ってみてください。

※エッチングと書きましたが、エングレーヴィング、ドライポイント、エッチングなどいくつかの手法を使っています。サンプルはドライポイント(版に直に描く)です。(エッチングは腐食の行程が入ります)
※我々が使う紙の中で、皮紙系は「サンダースベラム」、「シープスキン」、「羊皮紙」などの疑似皮紙があります。和紙に近い紙と言うと「新局紙」などが代表ですね。

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