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今の社会とデザイン

今、紺野登著の「知識デザイン企業」という本を読んでいます。まだ読み終えてないので、本の詳しい内容や感想は後回しにして、ちょっと良い話があったので、もし知らない人がいたらと思い、抜き出してみます。

2007年度は240億ドル強の、約35億ドルの純利益を生み出したアップル。創立者であるスティーブ・ジョブスは、デザインの持つ価値に目覚め、パーソナル・コンピュータの世界を創造したリーダーの一人である。
「私は自分がしていることがたまらなく好きだ。それが私を動かし続けている唯一の物だと固く信じている」
〈中略〉
ジョブスは大学を中退したものの大学では学び続けた。その大学が、全米屈指のカリグラフィ(装飾文字)教育を行っている大学だった。
「私は退学した身。もう普通のクラスには出なくていい。そこでとりあえずカリグラフィのクラスをとって、その手法を学んだ。
サンセリフの書体や、活字の組み合わせに応じて時間を調整する手法を学び、素晴らしいフォントを実現するためには何が必要かを学んだ。それは美しく、歴史があり、科学では判別できない微妙なアートの要素を持つ世界で、いざ始めてみると私はすっかり夢中になった。

当時の私にとっては、これからのどれもが自分の人生で実際に役に立つ見込みなど無かった。しかし10年後、最初のマッキントッシュを設計しているときそれが蘇ってきた。そうして完成したのが、美しいフォント機能を備えた世界初のコンピュータだったのだ。私が大学を中退してその授業を受けていなければ、マックが複数の書体やプロポーショナルフォントを持つことは無かったろう」

そしてマックがそうした美的感覚を宿していなかったら、マックを模倣したウィンドウズはもとより、どのパソコンも、素晴らしい印刷技術を備えることは無かっただろうと言うのだ。(原文ママ)

どうでしょうか? スティーブ・ジョブスは我々グラフィックデザイナーが学ぶようなことを学んで、今日のマックの基を、そして今の発展を作ったのです。
今、デザイナーの就職難(他の職種もですが)の時代ですが、きっとデザイン会社だけがみんなの居場所ではないのかもしれません。
世界を見ると、日本の企業は今後もっともっと「デザイン」的な感覚、クリエイティブな感性を取り入れていかなくてはいかなくなるでしょう。みんながきっと活躍できる社会が待ってるはずです。

お互いもっともっと活躍できることを信じてがんばりましょう。

そしてジョブスはこうも言ってます。「その時はわからなかったが、やがてアップルをクビになったことは自分の人生最良の出来事だったのだ。・・・」

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出典:紺野 登 著 ART COMPANY 「知識デザイン企業」(日本経済新聞出版社)

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