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螺旋の話3 ケルト文様 [閑話]

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※アイラモルトのアードベグのロゴやグラフィックにはケルト様式が取り入れられています。

螺旋好きにとっては、「ケルト」は決して避けては通れません。

ケルトの話は、いろいろ詳しい内容がネットや本に出ているのでぜひそちらを参考にしていただくことにして(とっても語り尽くせません)、ちょっとだけかいつまんでみます。
紀元前4-3世紀にインド=ヨーロッパ系のケルト人がヨーロッパに侵入し、一時ヨーロパのかなり広い地域に広がります。実はあのローマ帝国に負けちゃったフランス人の祖先と言われるガリア人もケルト人の仲間です。でもヨーロッパ大陸のケルト人は、色々な民族と一緒になってその文明に吸収されてしまい、結局今でも残っている(言語や文化)のはアイルランド、スコットランド、マン島、ウェールズ、及びブルターニュだけになってしまいました。それが私たちのイメージ「アイルランドや一部のイギリス=ケルト」になったんだと思います。

ケルト美術と言えば第一人者である鶴岡真弓先生(多摩美術大学教授)の著書が何冊もありますので、興味があればぜひ見てみてください。私も参考にしながら書いてます。

私は螺旋好きの視点からの、あくまでも私説です。
ケルトのように自然宗教的な物をベースとしている場合、「螺旋」が登場することは大変多く、それは人間の「内面」の世界を見つめ、また自然の現象を良く観察し合わせて、世の理(ことわり)を表現してる文明、宗教に共通の事柄だと思います。
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※北アイルランドの世界遺産、ニューグレンジの巨石の文様

ケルト人にとっての螺旋は死生観(輪廻)だと言われているようですが、まさに、仏教(密教系)やヒンドゥー教、各地のプリミティブな自然宗教にも共通する考えですよね。
宗教的に内面や自然の理を基としている場合には、キリスト教の格好いい「人間の形をした神」のような偶像は作らず、複雑な図形や、入り組んだ文様の中に本質を入れ込みます。それは非常に微細でしかしそこには広大なる宇宙が存在します。

見た目の大きさというのはあくまでも人間の目を通した物で、自然の本質にはかえって邪魔なのかもしれません。それはあたかもフラクタル図形(大きさに関係なくすべてが相似形で出来ている)のようなもので、そういわれてみるとケルトの文様にはフラクタル的な要素が見てとれます。

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※フラクタルの図形例

すべての本質は螺旋(のようなもの)にあるとにらんでいます。
それは時折、僕らの目にもちらっとその端っこを見せてくれたりします。

最後に世界で最も美しい書物と言われる「ケルズの書」をウイキペディアの画像より抜粋しました。精緻な文様によるケルト世界観と、まるで「曼荼羅」を彷彿とさせる図形があるのがわかると思います。他文化・宗教間の共通点や似たような図形ってちょっと興奮しますよね。

book_of_Kells.jpg


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※参考
http://ja.wikipedia.org/wiki/ニューグレンジ
http://ja.wikipedia.org/wiki/ケルズの書
http://ja.wikipedia.org/wiki/フラクタル

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