簡易で味のある印刷 [印刷方法]
私たちが仕事であまり使用することは無いのですが、今書店で売ってる「デザインのひきだし」という専門雑誌では、“ピンクマスター”、“デジタル孔版”などのちょっとプリミティブでエコで安価な印刷方法を紹介しています。
“ピンクマスター”は、「紙」の版で印刷するオフセット印刷です。紙だから、通常オフセットの金属板に比べて耐久性が無く、また伸びがあることからカチッとした仕上がりにはならず、また大量には刷れないんですが、それ故の素朴な味があり、印刷価格の安さも伴って、一度何かで使ってみたいという気にさせます。紙って言うところがエコごころを惹き付けますよね。
単色印刷の注文が多いようです。通常のプロセス4色印刷も出来るのですが、新聞くらいの100線程度のアミ点に適していて、版ズレも味と見て素朴を楽しめれば、結構いい感じです。
だいたい数10枚から2000枚程度。紙はA3ノビ程度まで。色はCMYK、金銀など特色も含めてかなり広く使えるようです。
デジタル孔版は要はスクリーン印刷です。この本では「リソグラフ」「サテリオ」を紹介しています。素朴で手作り感あふれるロハスな(最近聞かなくなりました)作品を掲載していますが、ズレや、ムラを意識した上で、もっとモダンで面白い物も作れるはずです。
その他には昔懐かしいガリ版を(小学校の時に良く使いました)いまだに使って素敵な作品を生み出してる人なども掲載されています。
前述の2つの方法は一度、何かで挑戦しようと思います。一度この形で刷った物を元にして通常オフセット用の原稿を作成するという方法もありますよね。その時にまたレポートできればと思います。
お伊勢参り(パワースポット) [閑話]
ブログのアップも進まず、今回もちょっとテーマはずれますがお許しください。
少し前に流行っていた「パワースポット」。日本のナンバーワン人気スポットと言えばお伊勢さんですよね。
3連休だけど最終日だし、台風だし、もうきっと下火だしとちょっとばかり運気をいただきに、一人でふらっと行って参りました。
上の写真のように予想より台風が早く、雨がたくさん。でも若い女性を中心にけっこう人がたくさんいてびっくりしました。
皆さんにもちょっとだけ運気のお裾分け。(できたらいいんですが・・)
下宮の本宮(御正殿)です。(本宮は下宮、内宮ともに鳥居の中は撮影禁止でした)
内宮の宇治橋の脇にあるのですが、なんのためにあるかわかりません。
これは藁葺きではないですが、日本の屋根ってきれいです。韓国、中国、アジアではもっとそりが強くなりますよね。国民性的な物も反映してるようで面白い。
内宮の御正宮です。人が多いので係員が整理をしてました。20年ごとに新しく隣に立て替えるそうです。
いにしえの昔より木を基本的に伐採してはいけないという決まりがあるようで、普通の神社仏閣ではご神木と呼ばれる以上の古木がゴロゴロしてました。いい写真家ならもっと・・・。
さすがに鳥居をひとつずつくぐって中に入っていくたびに、温度が1度ずつ下がっていくような感覚はパワースポットらしさを実感した気がします。
好きです。古い金具の形。
参道のおはらい町通り。古い町並みを残してるのでいい感じだし、アンティークなグラフィックも。
写真展などもやってました。
http://www.akafuku.co.jp/jingunomori/index.html
でもとても印象に残ったのは・・・
意図しないで作られるこういう物って、力あります。(津駅を使ってる現地の人にとっては何のインパクトも無いと思いますが)
パウル・クレー 「線」の人(パウル・クレー展 終わらないアトリエ) [アート]
私のブログではたまに行った絵画展のことを書くと、メインの記事よりアクセスが多いという、トホホな解析ですが、ずっとご無沙汰してた口開けは「パウル・クレー展」です。
平日行ったのにすんごい人。日本の人たちのダーイ好きなパウル・クレーさんならではですね。
毎年どこかでやってる印象の強いクレー展ですが、さすがに今回は「またかよ」と言われるのを回避しようと、昨今はやりの企画展です。
企画内容は、転写したり、切ったり、はったり、裏表で描いたりっていうクレーの飽くなきトライ(&エラー?)を、その技法別に展示してあることでした。
ちなみに
パウル・クレー 1879/12-1940/06
ワシリー・カンディンスキー 1866/12-1944/12
アンリ・マティス 1869/12-1654/11
ホアン・ミロ 1893/04-1983/12
パブロ・ピカソ 1881/10-1973/04
ジョルジュ・ブラック 1882/05-1963/08
さすがに同じ時代を生きていた彼らには、違うグループだったり地域だったりしても、すごく共通点があると思います。この頃の人たちって今までの絵画から抜け出そうととても実験的な構図や技法、モチーフ、表現をしようともがき、絞り出そうとしてた人たちですよね。
具象から抽象への時代。何もクレーだけじゃないとは思いますが、この展覧会では特に様々な面白いことをトライした人として技法とそれに呼応した絵画を取り上げています。作家や時代を掘り下げる意味でいい企画だと思います。
この前のレンブラントもやはりそういった企画展でしたが、彼だっていろいろトライしてたのが良くわかりました。
さて私感です。クレーは、多分上に掲載した絵のようなイメージで人気があるんじゃないでしょうか。きっと多くの人たちは「パウル・クレーって、色彩の構成が素晴らしくて幻想的で美しいわよねー。」って思ってるんではないでしょうか。またそこが人気の元のような気がします。
でも基本彼は「線」の人だと思います。今回の展覧会は特にそのことを感じさせるような絵が多かったですね。下の絵を見ると実は面で表現されてたと思っていた色彩が、線の間を塗ったものであることが良くわかります。
カンディンスキーと共にバウハウスでも教鞭をとっていた彼は、モチーフや表現にもそれっぽい物があって、特に線で描いた素描やそれを元に彩色した作品など「バウハウス感」が感じられて面白かったです。
ちなみに今回の私のピカイチくんはこの下の絵です。「入り江」。素描と転写(?)の2点ありましたがこれは素描の方です。間違いなく入り江です。岩や木や向こうの半島やすごく想像できますし、1本ではありませんが(4本)、一筆書きのような感じで描き上げています。しかもどこも破綻の無いすんばらしいライン。友人のイラストレーター野口さんと語り合いたい。
展示会は7/31までです。多くの作品を押し込んでるのでちょっと見づらいところがありますが、ぜひ。しかも中は作品保護のために涼しい〜。
http://klee.exhn.jp/
※イメージは図録および展覧会サイトより。