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Gothicゴシック [スタイル]

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フィレンツェ在住の友人が半年に一回、日本でのイベントに合わせて会いにきてくれます。
先日も他の友人一家と一緒に会える機会がありましたので何かお土産と思い、良く足を運ぶパルコの地下の洋書屋「ロゴス」で、「GOTHIC」と言う本がありました。彼女は彫金をやっていますので、パターン集として何か役に立てばいいのかなと思い、それにしましたが、良く考えてみればイタリアにはそれこそ「犬も歩けばゴシック」状態ですよね。本屋にはそんな本ばっかりあるのかなとも思いましたが、逆に言えば、イタリアだからこそそういう本を普通の人はあまり買わないかも・・・、日本で言えば小紋などの文様集でしょうか(最近は売れてるようですが)—と判断しました。
一応社交辞令でなければ、お土産成功でした。CDもついてて、お仕事の役にでも立てば良いな。

さて、「ゴシック」、最近(でもないか)ゴスロリなどでなじみもかなりありますが、元々は中世の教会建築などがその所以です。みんなの知ってるミラノの大聖堂とか、ロンドンのウエストミンスターなんかが代表でしょうか。

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出典:http://matome.naver.jp/odai/2127373992274672901

非常に細かく繊細で、たくさん。装飾の上に装飾を重ねる感じです。繊細なのに、はかなく無いのはあまりにも過多な感じと、やはり教会ものですから「威厳」ということも重要なポイントだったでしょう。さらに当時は暗黒時代と言われていた時代性もあると思います。ゴシックと言えば「黒」のイメージがあるのはここいらへんが元なのかもしれせんね。タトゥーや、十字やスカルのちょっとハードなアクセサリーなどでもおなじみです。
基本のモチーフは、やはり植物から来てると思います。日本の古い文様やアルーヌーボーなど世界中のほとんどの古い文様は植物由来ですがそれぞれ雰囲気が違いますよね。ゴシックは古い建物に絡まるツタや暗い森の中の茨(いばら)を想像させます。
デザインをやっていると、日本、西洋に関わらずこういう細かいディテールの細工なんかがすごく気になりますよね。



以前にも書きましたが、書体のゴシック体はこれとはまったく逆の位置にあります。ベースに「ブラックレター」と言うものがあり、ここらあたりがローマン体に比較して「洗練されてない」「忌み嫌われた」と言う意味合いで(先ほどの暗黒時代やローマ帝国滅亡の一因となったゴート人に関連があるようです)、ゴシックとなったようです。

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※画像はオリジナルのゴシックの意味を反映する文字

ちなみに私の友人はフィレンツェでアクセサリーを作っています。伝統的で繊細なフィレンツェ彫りをベースにしており、現地にショップもあります。東京と大阪のデパートでは、イタリアフェアなどで大変人気のある作家として呼ばれていますので、日本で買うことも可能です。
興味のある方は下記サイトを参照ください。

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http://www.unikus-fi.com/

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ファッションとタイポグラフィー “ファビアン・バロン” [スタイル]

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大好きなアートディレクター第2弾です。“ファビアン・バロン”は、基本的にファッションの業界に特化しています。その中でもファッション誌のエディトリアルデザイン/アートディレクションでは、世界的に有名です。

「フレンチ・ヴォーグ」「ハーパース・バザー」「イタリアン・ヴォーグ」「アリーナ・オム」「インタビュー」など。「カルバン・クライン」「ドルチェ&ガッパーナ」を始めとする一流ファッションブランドのブランドイメージも彼の仕事です。

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特にアレクセイ・ブロドヴィッチのアートディレクションで、黄金期を作ったものの、’70〜’80年代、普通の女性ファッション誌に成り下がっていた「ハーパース・バザー」を再び一流ファッション誌に返り咲かせた手腕は、見事の一言につきます。彼と彼の使っていたパトリック・デマシェリエやリンドバーグを始めとする一流カメラマンによる誌面は、モードそのものでした。
また、ケイト・モスを良く使ったことや、マドンナの写真集“SEX”を手がけたことでも良く知られています。

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彼の作品を見ると、一流モデルとカメラマンを使い、スタジオのホリゾントを使ったシンプルなモノクロームを多用した写真、しかしモデルの多くは、特徴的なポーズ、または動きの中の面白い形をとらえています。すべては、身につけているファッションがより印象的に見えるよう計算されています。そしてそれに非常に大胆なタイプフェース(文字)を合わせたものが多く見られます。このシンプルなモードフォトと大胆にデザインされたタイポグラフィーが、彼の特徴と言っていいと思います。

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ファッション誌といえば、大きくて美しい写真にあまり文字を入れ込まないのがおしゃれな感がありますよね。しかし彼の手法は文字を大胆に使って、それをファッショングラフィックのひとつとして、積極的にデザインしていくところがすごいです。しかもきちんとコミュニケートしている。いやむしろ文章の内容もファッションの一部です。様々なファッション誌で彼のフォロワーがたくさん出ましたが、非常に納得がいきます。

「力量」という言葉では陳腐かもしれませんが、脱帽です。

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ファビアン・バロンHP http://www.baron-baron.com/flash/2/master.html ※画像は彼のサイトより


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素朴でプリミティブな技法が生む「味」“ヨゼフ・チャペック” [スタイル]

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ヨゼフ・チャペック 1887年3月23-1945年4月
非常に有名なチェコの戦前・戦中の画家(作家・グラフィックデザイナー)です。国民的作家である弟カレルの著作を始めとする本の装丁で世界的にファン、研究家を持っています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヨゼフ・チャペック
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戦時中は印刷の原板をリノリウムを彫ることで行っていたらしく、非常に素朴で「味のある」線と面で構成されています。今のコンピューターによるグラフィック作品とは真反対にある、人間の手によるあたたかさとかわいさが今でも多くの人を惹き付けている理由でしょう。女性に見せたらほとんどの方が「カワイイ!」って言いそうですね。(彼はそんなところを狙って作った訳ではないと思いますが)

ロシアンアバンギャルド作品に比べても文字などに共通点はあるものの、政治的な抑圧を感じさせない、自由さや楽しさ、シャレがありとても共感できます。
良く見るとタイプフェースとかも凝っているし、デザイン的にもとても計算された構成になっていて、でもそれがまったくえらそうじゃ無いところが魅力です。
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人を惹き付ける魅力的要素ってたくさんありますね。昨日の「暗さ」もそうです。今回は「素朴」や「人間的な暖かさ」でしょうか。例えばフォントではない、書き文字を使うとかもそのひとつだと思います。今は、自然なイメージやエコ的なものに多く見られる手法ですが、今後もっと需要が出てきそうな要素だと思います。

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出典:ピエ・ブックス刊 「チャペックの本棚」ヨゼフ・チャペックの装丁デザイン
東京外語大名誉教授 千野栄一さんのコレクションをまとめられたものだと思います。
http://ja.wikipedia.org/wiki/千野栄一

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自分の出自を活かす ーインターナショナル時代のクリエイティブー [スタイル]

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私が衝撃を受けたア−トディレクターに「アラン・チャン」がいます。
香港出身の彼の作品はこの上の「手」のデザインが有名ですね。私たちにとってはまるで高松塚古墳の壁画の女性の手の表現か、弥勒菩薩のしなやかな指のような印象です。非常にアジアンです。彼のすべての作品の根底には香港出身の彼の出自が強烈に感じられます。

私たちの世代では、いろいろな文化はすべて欧米から入ってきました。かっこいいアメリカ、おしゃれなヨーロッパ。ダサイ日本。欧米のまねっこをすればいいイメージを表現できた。
そんな時代に彼の作品は、アジア人ということをむしろ誇るような、それでいて、欧米から見てもエキゾチックでありながら非常に洗練されたイメージを構築できています。彼のものすごい力量とセンスに感服すると同時に、ああ、自分の進む道ってここなんだなと思わされました。
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かなり前から、デザイン・アートの世界もドメスティック限定なものからインターナショナルな時代になっていってます。その中で確かにボーダーレスの表現も素晴らしいですが、日本、そしてアジアに生まれた自分のオリジンを表現にきちんと取り込んだものが、他には出来ない「オリジナル」として、今後ますますオーラを放つ作品になっていくんじゃないでしょうか。常に意識していたいなと思います。

アラン・チャンの会社のHP www.alanchandesign.com/

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ホスピタリティーと満足感 [スタイル]

今のデザイン会社を始めた当時は、私の他に二人共同経営者がいました。そのうちの一人は、以前私の勤めていた会社に一緒に働いていた、元々音楽・芸能関連の某有名会社にいらっしゃった方で、その当時、企業が音楽などのスポンサーを大変活発にやっていた時代にいくつも一緒に仕事をしました。

今までデザインや広告関連の営業の方ばかり見て来た私には、彼のクライアントや関係者に対する素晴らしい気の使い方と対応を驚きもし、また非常にリスペクトしていました。
当時はいっぱしのアーティストぶって、えらそうに言うだけの私にとって、発注主や関係者を、仕事や様々な気遣いで喜ばせいい気持ちにさせるというのは、疎ましさよりも新鮮で、その後の私にとても影響を及ぼしました。

いいものを作れば、いつもえらそうでいいんだ、分からず屋の発注主には反発していいんだでは、結局満足できるものは出来ません。クライアントや関係者、自分のスタッフを含め自分の世界をうまく演出し、引き入れていい関係を作り、最終的に期待以上の満足感を供給すべきだと思っています。
それは、いつもニコニコへらへら媚びてろということではありません。自分勝手ではない、相手のことを考えた対応。もちろん、クライアントにクリエーターとして厳しい創作活動の結果としての、「予想以上」「うれしい驚き」を与えることが非常に大切です。

(いろいろな状況もあり、とても難しいことですが)一人の世界で作り上げるアートではない故に、自分(たち)の作品を理想的な状態に持っていくためにも必要な要素だと思います。

※サンプルは、彼と一緒に創立一年目に携わった作品です。今では見ない8センチシングルCDのジャケットです。当時は音楽制作も請け負っていました。
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マン・レイ展 [スタイル]

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そろそろ空いて来たかなと、「新」国立美術館の「マン・レイ展」に行ってきました。写真を撮られる方が多いようなので、行かれた方も多いんじゃないでしょうか。

「黒と白」や、「アングルのヴァイオリン」(女性の背中の写真に弦楽器のfホールを描き込んだもの)などのちょっと変わった写真で、シュルレアリズムの写真家というイメージの「マン・レイ」ですが、今回は写真以外のドローイングや彫刻、サイレント映画なども多く展示され、「マン・レイ」の、芸術家としての全体像がよく見える展示内容でしたね。

このころの「ダダ」「シュルレアリズム」時代の芸術家は手法にとらわれずに、あらゆる可能性を模索した人が多く、マン・レイも、まさにそういう人でした。
一度「螺旋」の項で紹介した、マルセル・デュシャンも様々な可能性を芸術として表現して来た人で、マン・レイとも親交がありました。
マン・レイは生活の糧として始めた写真でさえ、芸術的表現のモチーフとして工夫をし、後世に残る作品と技法を生み出したのです。

私が今回感じたのは、近年の芸術家で従来の枠を飛び出して、自由に表現を展開した人たち、ピカソやマティス、ダリ、クレー、藤田にしても、ちゃんとした絵(表現に問題がありますが、分かりやすい意味で)を描かせるとものすごくうまい。今回のマン・レイのドローイングもご多分に漏れず、素晴らしい絵の才能と基礎技術を感じました。
「しっかりとした基本の上での発展」「正攻法を知った上での打破」「古くからあるベーシックな価値感の上に立つ奔放」。「きちんといい直球を投げれるピッチャーによる変化球」
私たちがクリエイティブをする上でもとても大事な要素だと思います。

※マン・レイ展は9月13日までやってます。

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