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季刊銀花と和のデザイン [エディトリアル]

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忙中閑ありではなく、閑中忙ありで、この不況下、少し時間が出来てブログでもと思ったのが、年末よりこの1、2月と仕事が続いており、とてもありがたいことですが更新がうまく出来ずにすみません。
気軽に書けるような内容にしなかったのが失敗ですね(笑)

さて、昨年2月にひっそりと休刊になった、知る人ぞ知る雑誌「季刊銀花」のことにちょっと触れようと思います。
内容については多くの人がネットやブログで取り上げてると思いますので、そちらにお任せしようと思いますが、昭和45年(1970)に創刊以来「和の文化」を連綿と伝え続けて来た、その道が好きな人にはバイブルのような本です。

デザイン的には、あの杉浦康平さんが手がける表紙のデザインが非常に有名で、私も昔会社勤めの頃に先輩よりこの本を教えてもらって目から鱗が止めどなく落ちたのを良く覚えています。

まず、縦組を主とする和文を基本にしたレイアウトで、これほどデザイン的に仕上がるものかとびっくりしたのがひとつ。
表紙に文字をたくさん入れるという大胆なこともそうですが、和文の組自体を切り抜いたオブジェクトの周囲に合わせて改行したり、斜めにしたり、カラフルに色を付けたりと、まるで文字がデザインの重要なパーツとして存在することは、大変新鮮でした。

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とにもかくにも「今までやって来たこと」や「定番」や「雑誌っぽさ」から、限りなく自由なデザイン。
お固そうな内容の本なのに、この表紙のせいで、とりあえず見てみようかなと思わせる、ちゃんと目的を必要以上に果たしてるところも素晴らしいです。ちなみに表紙は、レコードじゃないけど両A面になってます。
もちろん、今では色々な工夫がされてる雑誌はたくさんあると思いますが、この当時としては非常にラジカルでした。

内容的には、雑誌販売部数などまったく考えてないんじゃないかというようなゴーイングマイウェイの典型のような内容ですが、編集も、デザインもまったく手を抜いてないことも、40年近く続いて来た理由のひとつなのかもしれません。

杉浦さんは表紙のデザインとされてますが、もちろん中も大胆で、革新的で、素敵なデザインで構成されています。

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もし古書店などで見かけたら、創刊年は非常に高いようですが、それ以降のものはわりと普通な価格で手に入りますので、一冊くらい持っていてもとても楽しいし、参考になると思います。

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美しかった「マーサ・スチュワート Living」 [エディトリアル]

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過去形です。
皆さんもご存知のようにカリスマ主婦「マーサ・スチュワート」が株のインサイダー取引で2003年に有罪となってしまいました。素敵な料理、素敵な庭、素敵なインテリアをクリエイトし、紹介して来たあまりにも有名な彼女と、株のインサイダー取引という黒々としたイメージには、相容れないものがあり、強烈なインパクトがありました。

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彼女のことはさておき、以前の「マーサ・スチュワート Living」は、もちろん保守的だけれどとてもオリジナルな生活提案の内容も素晴らしかったけれど、それ以上に非常に美しい写真とレイアウトで独特の世界観を作っていました。

「マリー・クレール」や、「ヴォーグ」「ELLE」なども衣食住系の雑誌を持っていて、それなりに素晴らしいものがありましたが、このマーサのLivingのアートディレクションに於ける独創性と美しさは、一頭地を抜いていました。日本でも一世を風靡した「ピントの浅い明るめの料理写真」もいち早く取り入れていました。

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この雑誌の成功はもちろん彼女の実力もあったでしょう。しかし、これだけの素晴らしいアートディレクション、写真、デザインのスタッフの力が無ければ、他の生活雑誌とは一線を画した、非常に評価の高い素晴らしい成功作にはならなかったと思います。いいものを作ることがきちんと評価されて実利にも結びつく。いい意味でアメリカ的です。(足のすくわれ方もアメリカ的?)

今のLivingは、一時の孤高な感じは見られず、ずいぶん普通になってしまいました。表紙にも影響が見て取れますね(下の画像)。とても残念です。

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sample pictures from "31stpublication design annual" and "Wikipedia"
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