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アングル [ディレクション]

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クライアントにお届けものをした帰りに新宿の紀伊国屋さんに寄ったので、お決まりの6階アート写真集コーナーに。
デザイン関係の本は結構高いのに、つい購買欲が出てしまいますよね。この日も厳選して2冊に絞ったそのうちの1冊は、ちょっと毛色の違った写真集でした。

[「地球一周空の旅」上空から眺める55の絶景]という写真集です。何がいいって表紙(上)の写真にびっくりしました。あの有名なフランスの「モン・サン・ミッシェル」なんですが、こんな角度で見たことは初めてです。

通常手前の海岸から海越しに撮るあの美しい小山の形の写真がほとんどですよね。朝だったり夕方だったり、干潟ができてたり海だったりとバリエーションはありますが、多分あの形の美しさ故にあまりアングルのバリエーションが無いのでしょう。

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http://ja.wikipedia.org/wiki/モン・サン=ミシェル

でもこの写真を見ると修道院へつづく道の複雑さとか途中の様子とかがわかると同時に、あんなに見てる場所なのに「見たこと無い感」がすごく新鮮です。

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スリランカにある天空の王宮シギリヤの遺跡

この他にも世界中の街や自然のすごい場所がいわゆる「バードアイ」的アングルで撮られています。通常は飛行場の滑走路に近くなった時とか、ハングライダーに乗れる人はその時とかしか見れない「一般的ではないアングル」で、見たこと無い新鮮さがすごく楽しめます。

下の「サハラ砂漠」の写真、こんなアングルで砂漠見ません!荒涼感がただよいます。

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サハラ砂漠の砂丘

さて、私たちの現場の撮影ディレクションでは、カメラマンと一緒に「一番いいアングル」を探ります。もちろんその商品やモデルの着てる服などが一番きれいに特徴を持ってみれるアングルというのが存在します。昔から行われている行為ですから、だいたい「ココ」というのが一般的に認知されていて、結局そこに落ち着いちゃったりします。

でも、今やってる仕事の伝えたいことを表現するには実はもっと違ったアングルのほうがいいんじゃないかとか、今まで見たことが無い、やったことが無いんじゃないかというようなアングルで撮ってみるとかはとても有効なことがあります。

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ピザのアングルというのはだいたい斜俯瞰ですが、このように具材がかなり変わって4つの世界観を表現する「クアトロ」などを見せるには「俯瞰」も有効ですね。

アングルなんて写真のディレクションでは初歩の初歩なのに、僕のように長くやってきた人間でも上記のような本で「ドキッ」とするんですから、やっぱりとても大切なテクニックなんだなと思います。

そんなことをリマインドさせてくれたこの写真集は¥1,900(安い!)パイ インターナショナル刊

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背景を選ぶ [ディレクション]

皆さん先刻ご承知とは思いますが、人物写真の場合、背景の選択にはいくつかパターンがありますよね。
撮影のディレクションで何を選択するか。

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白ホリは、基本的に「象徴」だと思います。人物、洋服などを象徴的に撮れる。ライティングも自由度があるので、例えばその人のキャラクターを演出しやすかったりします。ちょっと異質なポーズ、動的なブレなんかもかっこうよく表現できますよね。
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また、距離の調整で影などを作ることも出来、さらに背景への照明の度合いで、真っ白から濃いグレーまでかなり多彩な表現が可能です。
コミュニケーションがシンプルですので広告には適してる撮影方法と言えると思います。(特に昔は多かったように思います)
バックドロップをたらすと、基本は肖像写真だと思います。写真館的。ファッションというより、その人(しかもお澄まし系)

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ハウススタジオまたは室内で撮る最大の理由は「ライフ」だと思います。ファッションならその洋服を着るシチュエーション、時間を表現できます。(屋外は経過、室内は目的地の)自分に置き換えやすいから、とんがってないけど受け入れやすい。

屋外は最近とみに目にするのはストリートですね。今はファッションはストリートからってイメージがあるから、手軽さも手伝ってストリートでの撮影が多いんだと思います。会社の近くの表参道なんかだと毎日必ず目にするような気がします。

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同じ屋外でも「自然」は、いいですね(笑)。本来私たちがそういう中でぽつんと一人で立つようなことはあまり無いから、変なのかもしれないけど、人間は本来自然の産物だから、誰もが持ってる原点回帰的な大きなテーマを表現できるような気がします。まあ、撮る場所にもよるので一概には言えませんが、一時は雄大な自然の中のハイファッションというシチュエーションが結構流行りました。

もちろんその他にもいろいろあります。ホリでも自然光とか、スタジオの廊下とか。でも上記のシチュエーションの中間またはミックス的な考え方でいいと思います。

物撮も周りをシンプルにすることで、そのもの自体を際立たせる。周りを作り込んで、そのものが持ってるキャラクターや、使うシチュエーションを表現する。その両端の間を物の表現したい物に合わせて選択する感じです。

※VOGUE(British,USA)およびNumeroより抜粋

タグ:撮影背景
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アートディレクターが一緒にやりたいカメラマン像 [ディレクション]

たぶん、プロの方は知りたい内容ではないでしょうか?
ただこればかりは人それぞれです。もちろんAD/デザイナーの仕事内容にもよります。
非常に私見になりますが、ご了承ください。

まずは写真に対して意識が低いディレクター、デザイナーがたくさんいます。そんな彼らたちの選択理由は、「他でいい仕事をしている(ブランド)」か「ギャラが安い」「何でもいやがらずに言うことを聞いてくれる」あたりに集約してると思います。会社の先輩に推薦されたので・・なんてのもあるでしょう。
どんな仕事も多い少ないはあってもお金にはなるし、なんと言っても仕事をしないよりはいいわけですから、よほどのことがない限りは受けると思います。
ただ、自分がいい写真を撮っても反応が鈍いし、カメラマンとしては中々満足感が得られないかもしれません。

私の場合は、まず専門的な写真の場合は、基本的にそのジャンルの人から選ぶようにします。ファッション、料理、クルマ、貴金属等。専門にやってる人には一日の長があるし、私の知識の至らない部分もカバーしてくれるメリットもあります。ページ物など大量にある場合にはどうしても何人もカメラマンを抱えている会社にお願いすることになります。

撮影が絡む仕事の場合、いい写真はイコール自分の作品を高めてくれる原動力です。その仕事に合ってるということはもちろん大前提ですが、その中でも色々な作品を見て、自分なりに「他の人たちと違って光ってるな」と思う部分や「自分の感性に合っていて、良い仕上がりが予想できる」といった部分で最終的には選んでると思います。

カメラマンの作品集の中でやはり注目する部分は、フリーテーマのものではなく、実際に仕事でやった作品です。仕事の中では様々な制約があり、その中でいい作品を残せる人は実力があると考えます。

そうやって選んだ方と仕事をして、とても良いなと思えば、必ず次も頼むことになります。仕事をしてる上で良いなと思うポイントは、やはりアウトプットの質と仕事に対するストイックな姿勢でしょうか。自分の仕事にこだわる人好きです。ずっと長いこと仕事をしていてもそういう人には、いつも新しい発見があって、新鮮な驚きをプレゼントしてくれます。

さらに、新人でぴかっと光る仕事をする人とやる場合には、今まで他でもらっていたギャランティーよりもずっといいギャラを払うことも大事だと思います。それだけの仕事を頼むということですが、彼の自信にもなり、自分と仕事をすることで彼のクラスも上がっていくことが、双方にとっていいことだと思うからです。

※絵無しでしかも長〜い文章、ごめんなさい


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