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簡易で味のある印刷 [印刷方法]

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私たちが仕事であまり使用することは無いのですが、今書店で売ってる「デザインのひきだし」という専門雑誌では、“ピンクマスター”、“デジタル孔版”などのちょっとプリミティブでエコで安価な印刷方法を紹介しています。

“ピンクマスター”は、「紙」の版で印刷するオフセット印刷です。紙だから、通常オフセットの金属板に比べて耐久性が無く、また伸びがあることからカチッとした仕上がりにはならず、また大量には刷れないんですが、それ故の素朴な味があり、印刷価格の安さも伴って、一度何かで使ってみたいという気にさせます。紙って言うところがエコごころを惹き付けますよね。
単色印刷の注文が多いようです。通常のプロセス4色印刷も出来るのですが、新聞くらいの100線程度のアミ点に適していて、版ズレも味と見て素朴を楽しめれば、結構いい感じです。

だいたい数10枚から2000枚程度。紙はA3ノビ程度まで。色はCMYK、金銀など特色も含めてかなり広く使えるようです。

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デジタル孔版は要はスクリーン印刷です。この本では「リソグラフ」「サテリオ」を紹介しています。素朴で手作り感あふれるロハスな(最近聞かなくなりました)作品を掲載していますが、ズレや、ムラを意識した上で、もっとモダンで面白い物も作れるはずです。

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その他には昔懐かしいガリ版を(小学校の時に良く使いました)いまだに使って素敵な作品を生み出してる人なども掲載されています。

前述の2つの方法は一度、何かで挑戦しようと思います。一度この形で刷った物を元にして通常オフセット用の原稿を作成するという方法もありますよね。その時にまたレポートできればと思います。

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アミ点 [印刷方法]

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世間は大変なことになってますので地味な話題で。

写真という連続階調の原稿を印刷と言う「はんこ」で表現するために「アミ点(網スクリーン)」は発明されました。色々な方が研究していたようですが、最終的には1888年レヴィ兄弟の交差線スクリーンが普及の元になったようです。
出典:
http://www.printing-museum.org/communication/column/pdf/column_10.pdf#search='印刷%20アミ点%20発明者'

今の印刷物で写真と言えばアミ点を使った物ですが、ものすごく近くで見ない限りほとんどの人が不満を言わないレベルにまで達していると言っていいと思います。素晴らしい発明です。
皆さんもご存知のように明るいところは小さい、暗いところは大きい点(四角)で表現される訳で、通常カラー写真だと約2.5センチの間に175本線のある網(×4色分)を通した光の大小で(ネガなので逆です)決まります。
ついでにいうとCMYK各4色はモアレ防止のために、マゼンタ:45度/シアン:75度/ブラック:15度/イエロー:60度という角度をつけます。

先ほど175本と言いましたが、これが「線数」といわれるもので、通常新聞モノクロで55〜80線、新聞カラーで80〜100線、雑誌、ポスター、カタログで150〜175線です。線数は紙や印刷方法で、より良い条件が揃うほど細かくすることが出来ます。
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※同じ大きさで比べた、左が新聞100線、右が通常印刷物の175線

ここで言いたかったのは、普通皆さんは何も言わずに印刷屋さんに出すと思いますが、線数は指定できます。
通常だと200線までは問題なくやってくれると思います。染み込みが多めの紙は線数の多い印刷は向かないので注意ですが、平滑でなるべくキメの細かい紙に刷る場合には線数の多い方が、滑らかな表現が出来ます。
そのために「FMスクリーン」のような400線相当の細かい写真表現の出来る技術もあります。(これは少し高価になります)

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http://at1.tactnet.co.jp/kaiseido/cgi-bin/attodetl.cgi?pn=fms-1

ちなみに昔は写真と言えばグラビア印刷(凹版)でしたが、今「グラビア」(グラドルなんかで使います)というのはその頃の名残でほとんどの雑誌、写真集はオフセットで印刷してます。

ただ、線数が多ければいいのかと言うとそうではありません。新聞などで線数を選ぶ場合に、細かくすると滑らかだけど少しぼけた感じ、荒くするとシャープに力強くなると言われています。その昔、新聞モノクロの原稿などは写真の部分で線数を変えて使い分けたりもしました。また、校正を出す時にアミ点の線数を何パターンか出してみて、一番表現にあった物を選んだりしていました。

ロイ・リキテンシュタインなどは昔の質の悪い紙に刷っていた荒いアミ点のアメコミを、アートにしてましたよね。けっこう荒いアミ点って使い方で面白い表現が出来るものです。
チャンスがある方は、ぜひアミ点を理解していろいろトライしてみてください。

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印刷刷り出し立ち会いに行こう。 [印刷方法]

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入稿もデジタルデータになり、印刷もデジタル対応になり、校正もDDCPなどの出力紙になって、昔のように何回も校正を出すことも少なくなりました。
DDCPは、最終的な印刷機で同じように印刷できるようプロファイルによって管理されていて・・・というのが一応印刷屋さんの口上ですが、実際には同じようには上がらなかったりしませんか?

それは当然なんです。なぜならDDCPと本紙は材質が違うし、実際の印刷と出力は再現方法が違います。そこのところの最終判断&調整は、「人間が」しています。
もちろん本紙校正を出せばいい話なんですが、それでも最終の印刷になって、校正紙と照らし合わせてやはり「人間が」最終判断します。
最終判断する人はベテランの職人です。ただ、人間なので、迷った時に今までの経験から答えを出して行きます。今までやった仕事が「浅い!」と文句を言われた経験が多ければ、必然的に「濃く」してしまいます。もし「軽く」が大事で、そのことを意識して校正をしたのに、最終的に「濃く」なってしまうと悲しいですよね。

また、きちんと本紙校正をしても、予算とスケジュールの件でどうしても満足できないまま印刷に向かってしまうことも有ります。そんなときには、印刷所での「刷り出し立ち会い」は、最後の調整チャンスです。
オフセット4色機には、最終的にインクの料を調整することが出来ます。さらに紙の流れる方向に帯状に部分的な調整も可能です。
おまけとしては、印刷所に行ったことの無いデザイナーも多くいると思いますが、こんな風にやってるんだという勉強にもなるし、印刷のことについて、現場の人にいろいろ質問して必要以上の知識をつけられたりしますよ。

最終仕上がりにこだわる「できる」デザイナーなら、ぜひ「刷り出し立ち会い」考慮に入れてみてください。
※ 但し、実際に他の印刷物も隣の機械で刷ってたりします。物によっては(発売前の商品のカタログなど)、守秘義務の問題で断られる場合も有ります。

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今日行って来た印刷所にて。今日はオフリン(オフセット輪転機)でした。輪転機は通常の平台に比べて印刷速度がとても速いのが特徴です。数の多いチラシなどに良く使われます。最初の写真はインク濃度の調整台です。

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穴をあけてみよう! [印刷方法]

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小さいときに、コーラのビンに指を入れて、抜けなくなったことがありませんか?
そうなんです。人間って“男女を問わず”穴を補填したい欲求を持っているんです。

婉曲的表現はさておき、「穴」、気になります。
本来そこは平面であるところに穴があいていることで、平面が立体感を演出します。奥行きが出来るからなんですね。元々気軽な平面的なもの(紙に代表される)を利用して立体を演出するのは、昔からいろいろ工夫されてきた魅力あるクリエイティブです。それによって生まれた「折り紙」や「飛び出す絵本」は、この分野の頂点です。最近だと先端宇宙技術の「ミウラ折」なんかもありますね。プリミティブな故に永遠です。

本の表紙やパンフレット,DMなどにちょっと厚い紙を使って、穴をあけてみる。さらにその穴の向こうに見えるものも工夫をしてみてください。ちょっとしたことですが、いつもと違ってとても楽しくチャレンジングなクリエイティブです。

穴は「型抜き」加工と言って、型を作り、それを使って穴を「抜く」作業が追加になります。料金的には型代と、加工費がプラスになりますが、型代そのものは5万円〜程度とそんなにびっくりするほど高いものではなく、魅力あるグラフィック制作物を作るにあたっては、トライする価値のあるものと思います。
また、表紙だけではなく、すべてのページ、または裏表紙以外のページにいろいろな形で穴をあけてくのも面白いですね。同じ形でちょっとずつ小さくするとかもいいと思います。

ぜひチャンスがあったらトライしてみてください。作った側も、もらった方も「穴だけに」充実感あります。

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特殊印刷のススメ(1) [印刷方法]

「読む」「見る」ということに関しては、以前に書いたようにデジタル化が進んでいて、この部分の「紙へ印刷」というのは徐々に減っていくだろうと思われます。
このような状況で、例えば本や、カタログ、冊子などが生き残れるひとつの方法として、[「持っていたい」、「置いておきたい」、「残しておきたい」と人々が思うようなものを作る]というのがあると思います。
そのためのひとつのテクニックとして、「特殊印刷」があります。

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今回はとても代表的なものを2つ。最初は「バーコ」です。
バーコ社の開発によるこの手法は、過熱すると膨張する性格のインクを使うことで、印刷したところが盛り上がり、でこぼこな手触りを与えます。また、その部分が水飴が垂れた時のように光るので、見た目の印象も高めます。(画像でイラストと文字の部分が光ってるのが分かりますでしょうか?)

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次はUV印刷です。一言にUVといってもいろいろあるます。画像による例は、表面がツルツルで通常のインクをはじいてしまう特殊な紙に印刷したかったので、紫外線によって瞬時に硬化するUVインクを使うことで、可能にしました。さらに、文字部にはオペークインクの白を使っています。
UVの技術とインフラが以前よりも整ってきてるので、前出のバーコは、このUVによる厚盛り印刷に移行しているようです。同じような効果が得られ、さらにはインクの中にラメなども入れることが出来ます。

制作サイドは作品に対する愛着が倍増し、手にする人々には、印象的で、すぐには捨てにくい気持ちを与えるこれらの特殊印刷。費用はかかりますが、それだけの効果があり、チャンスを作ってぜひトライしてもらいたいテクニックです。

モノクロ写真の印刷方法 [印刷方法]

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前回モノクロ写真に触れたので、今日はモノクロ写真の印刷方法です。
大きく分けて3つあります。
ひとつはスミ1色(もしくは、その他の特色で)印刷する方法、1色刷り、基本です。
もうひとつはプロセス4色(CMYK)で分解し、印刷する方法。
昔はとても珍しかったのですが、今はほとんどこのパターンではないでしょうか?コンピュータ上の例えばフォトショップなどで、全体に色をある方向に寄せたり、後から彩色するとか、いろいろ加工が可能ですね。

3番目ははスミとグレーの濃淡の特色で2色〜3色(またはそれ以上)で印刷する方法です。この方法は、本来小さい網点(と余白)で再現しなくてはいけないところを薄いグレーの大きな網点で再現できるため網点感のない、非常にスムーズで緻密なフィニッシュを期待できます。また、特色のグレーを少し色の入ったものにすることで、モノクロの本来に雰囲気を崩さずに全体の色調をコントロールできます。このパターンがうまく行けば、多分一番モノクロ写真プリントに近い雰囲気で仕上がるはずです。これは、どこでも簡単にとはいきませんので、上手にできる印刷屋さんを探してトライしてください。

マット感のある紙に(できれば)3番目の方法で印刷し、最後にメディウム、またはグロスニスを写真部分全体に敷けば、モノクロプリントの雰囲気をよく再現した写真集的表現が可能です。

写真はアービングペン(奥)とアルバート・ワトソンの写真集です。


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