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原弘 [アート]

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宣伝グラフ誌「FRONT」1-2号表紙(1942) FRONTは、ソ連等に対する一種のプロパガンダ(日本軍の脅威)として制作されているので英文が使われてます。

ちょっと仕事に追われており、すんごく久しぶりの更新です。

「原弘と東京国立近代美術館 デザインワークを通して見えてくるもの」
現在人気のジャクソンポロック展を開催している竹橋の東京国立近代美術館。ジャクソンポロックは横目で見ながら、2階でやってる僕らの大先輩、原弘(はらひろむ)さんの作品を見に行きました。

日本デザイン黎明期の巨匠としても、日本デザインセンターや日宣美の創設に尽力した方としても、またブックデザインの天皇としてもとても有名な方ですが、今回は設立から携わってきた会場となっている国立近代美術館の展示会ポスターを中心として、有名な戦時中の「FRONT」や、装丁作品、またポスターも指定校等を織り交ぜながら展示してあり、僕らにも、またデザイナーではない人も楽しめる内容だと思いました。

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グラフィックアートUSA展のポスターとその指定稿(1967)

まだまだ日本ではお目にかかれなかった海外の先進的なグラフィックデザインの影響を受けつつ、当時写植も無い手書きの時代に日本語のタイポグラフィーを非常に研究されており、とても参考になるとともにその情熱に触れる思いがしました。有名なタイポグラフィ展のポスターなどは、原さん故の素晴らしい作品だと思います。

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タイポグラフィ展ポスター(1959)

また、非常に実験的なこともやられていて、マン・レイなどにも通ずるアーティストとしての側面も良く見えました。
日本のグラフィックデザインにも歴史が積み重なってきて、歴史を感じる部分と、なんだ自分のやろうとしてることや、やってることとなんにも変わっていないじゃないかと思う部分、さらに自分ももっともっとトライしなきゃいけないぞとケツを叩かれる部分、自分に近い世界だけに色々な思いを持たせてくれた展示でした。

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「円空」装丁(1973)

ちなみに日曜日に行ったのですが、ポロックを見なかったので無料でした!
(2月5日(日)、3月4日(日)、4月1日(日)、5月6日(日)と、自分の誕生日が無料のようです。近代美術館のサイトでチェックしてみて下さい。)
http://www.momat.go.jp/Honkan/hara_hiromu/index.html

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歌川国芳展 [アート]

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あけましておめでとうございます。
今年初めてのブログは、この3連休の中日に行ってきた歌川国芳展です。
昨年末より始まっていたし、歌川国芳自体は浮世絵としては北斎や歌麿、広重などに比べてちょいマイナーなこともあり、まあ空いてるだろうと思って行ったのが大間違い!入場制限を行ってるほどでした。

もともとちょっと苦手な六本木ヒルズの森アーツ、さらに混みコミで最初から少しうんざり。浮世絵ですからあまり大きくない画額が目線の位置に並べられてることもあり、遠くから見れないことも手伝って、じっくり絵を順番に見る列がまったく動かない!ちょっと参りました。

しかしかなり作品数も多く、色々な作品を網羅していることもあって、「歌川国芳」を俯瞰するには良い企画だと思います。(森美術館は、業界人が好きそうな企画が多いです)

私はまず彼の作品群、特に物語に出てくる武士や水滸伝の名将たちの絵(最初の絵)を見て、小さかったころの少年マンガ誌を思い出しました。当時の長岡秀星氏の描いたSFイラストなんかにワクワクしたあの感じ。きっと江戸時代の人もお話だけでは広がらないイメージの世界を、彼の絵によって心躍るものにしていったんじゃないかなあと思いました。

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浮世絵画家全体に言えることではありますが、特に国芳は、いわゆる今でいう職業イラストレーター、挿絵画家であり、決してアーティストではない。奇才と言われてますが、他の人とは違う茶目っ気やエンタメごころあふれ、なおかつそれを表現する絵心があったような気がします。今彼がいたら、どんな作品を世に出すかとても楽しみです。
また、多分版元からオーダーされたもの以上に自分でもいろいろ描いたり、トライしており、心底絵が好きだった様子が分かりました。多作です。
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サンプルは今回の目玉のクジラやネコの絵以外を上げましたが、2番目の滝に打たれている文覚上人の絵のほとばしる水の表現なんか劇画チックだし、いわゆるだまし絵的なもののアイデアも秀逸。鳥羽僧正を彷彿とする鳥獣戯画もあったり、役者絵を禁じられた時代に落書き風にしておどけたりとバラエティーあふれてます。特に下の落書きはその後のマンガに通ずるものがあるような気が。

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いずれにしてもアートディレクターやデザイナーはかなり楽しめ、また勉強になるものがあると思います。
絵が好きで、人々をアッと言わせたくて、日々頭を働かせ、筆をとる。そんな僕らにも通ずる国芳に親近感を覚え、また僕らもがんばらなきゃって尻を叩かれます。

興味のある方は是非足を運んでみてください。ただしできれば週末じゃなく平日が良いかも。

※サンプル画像は主催者による図録より

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モダン・アート,アメリカン [アート]

ちょっと遅くなりましたが、国立新美術館で開催の「モダン・アート,アメリカン」に行って参りました。
現在やってる美術展では“横綱級”、国立西洋の「ゴヤ展」に比べるとちょっと地味ですが、有名なアメリカの美術コレクター、ダンカン・フィリップスの所蔵品より、アメリカの代表的な作家の作品だけを選りすぐって見れるという、ちょいマニアックな企画展です。
それでも好きな人なら聞いたことのある、ジョージア・オキーフやエドワード・ホッパー、ステュワート・デイビス、マックス・ウェーバーなどの作品も入っていて、また、印象派から抽象まで幅広く見れるところもよかったです。

私もここいらへんあまり詳しくない分野なので詳しくはサイトでチェックください。
http://american2011.jp/highlight.html

僕的に気に入った作品をいくつか。
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ロックウエル・ケント:ロードローラー/若い男の埋葬
この人、今回の発見です。光と影の使い方が素晴らしい。すごく絵がうまい。

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ジョージア・オキーフ:ランチョス教会No.2 ニューメキシコ
ザ・アメリカン・アートですね。

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ウォルト・クーン:羽飾り

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エドワード・ホッパー:都会に近づく

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スチュワート・デイビス:青いカフェ
イラストレーターや女性が好きそうなカワイイ絵です。

12月12日(月)までやってます。この美術館は新しく広いので絵が見やすいのがいいですね。

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インタラクティブアートとUSTREAM [アート]

ご無沙汰しています。
最近何回か開催された“クリエーターズ・カフェ”ですが、先月のゲストは、インタラクティブアートを制作されているライゾマティックスの石橋素(もとい)さんでした。
非常に面白い視覚的効果を狙った作品をたくさん制作されており、CMや、PVなどにも使用されています。
こういうものはあまり能書きを述べても意味ないので、見てもらうのが一番と思います。





面白いと思ったのは、コンピュータの中だけの世界とは違い、非常にアナログな機械や仕掛けを使用するために、もちろん最初にイメージがあって、それに合わせて機械や素材・コントロールの方法を考えるのが順当だと思いますが、仕掛けなどの動きなどによってインスパイアされる場合もあって、結果的に面白いものができたりと、制作経過そのものもインタラクティブ感(アーティストと仕掛けの間の)があるところです。

また興味深いポイントとして、海外の賞を取られた時の話ですが、海外のアーティストは美術学校の時より作品に強いメッセージ性を付加することを教えられていて、ほとんどの作品がメッセージ性の高いものであるのに対して、日本のアーティスト(この場合は彼のグループ)はあまりその部分は強く意識することなく、逆にかえって新鮮に感じられたのが受賞の要因ではないかと話されていました。海外と日本のアーティストのアートに対する考え方の違いがかいま見られますよね。
下記ホームページをご参照ください。
http://www.rhizomatiks.com/

さて、その模様は「coco de sica TV」というUSTREAMチャンネルで放映されました。
「coco de sica TV」は、知り合いの映像会社がやっているチャンネルで、現在は、音楽ライブの配信や今回の「クリエーターズ・カフェ」、またこの会社がやっている社会人向けの講義の模様などを配信しています。今後さらに色々なコンテンツが増えて行くと思います。チャラチャラした内容は皆無ですが、前向きに生きる人にはためになったり楽しめるチャンネルと思います。
http://www.coco-de-sica.tv/

合わせてここでは、自分でUSTREAM番組を作りたい人に対してUSTREAMのオフィシャル収録スタジオUSTREAM STUDIO+(プラス)のレンタルを始めました。

この「coco de sica TV」や、USTREAM STUDIO+のロゴマークなどもやりましたので、次回にその紹介もしたいと思います。

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パウル・クレー 「線」の人(パウル・クレー展 終わらないアトリエ) [アート]

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私のブログではたまに行った絵画展のことを書くと、メインの記事よりアクセスが多いという、トホホな解析ですが、ずっとご無沙汰してた口開けは「パウル・クレー展」です。

平日行ったのにすんごい人。日本の人たちのダーイ好きなパウル・クレーさんならではですね。
毎年どこかでやってる印象の強いクレー展ですが、さすがに今回は「またかよ」と言われるのを回避しようと、昨今はやりの企画展です。
企画内容は、転写したり、切ったり、はったり、裏表で描いたりっていうクレーの飽くなきトライ(&エラー?)を、その技法別に展示してあることでした。

ちなみに
パウル・クレー       1879/12-1940/06
ワシリー・カンディンスキー 1866/12-1944/12
アンリ・マティス      1869/12-1654/11
ホアン・ミロ        1893/04-1983/12
パブロ・ピカソ       1881/10-1973/04
ジョルジュ・ブラック    1882/05-1963/08

さすがに同じ時代を生きていた彼らには、違うグループだったり地域だったりしても、すごく共通点があると思います。この頃の人たちって今までの絵画から抜け出そうととても実験的な構図や技法、モチーフ、表現をしようともがき、絞り出そうとしてた人たちですよね。
具象から抽象への時代。何もクレーだけじゃないとは思いますが、この展覧会では特に様々な面白いことをトライした人として技法とそれに呼応した絵画を取り上げています。作家や時代を掘り下げる意味でいい企画だと思います。
この前のレンブラントもやはりそういった企画展でしたが、彼だっていろいろトライしてたのが良くわかりました。

さて私感です。クレーは、多分上に掲載した絵のようなイメージで人気があるんじゃないでしょうか。きっと多くの人たちは「パウル・クレーって、色彩の構成が素晴らしくて幻想的で美しいわよねー。」って思ってるんではないでしょうか。またそこが人気の元のような気がします。

でも基本彼は「線」の人だと思います。今回の展覧会は特にそのことを感じさせるような絵が多かったですね。下の絵を見ると実は面で表現されてたと思っていた色彩が、線の間を塗ったものであることが良くわかります。 

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カンディンスキーと共にバウハウスでも教鞭をとっていた彼は、モチーフや表現にもそれっぽい物があって、特に線で描いた素描やそれを元に彩色した作品など「バウハウス感」が感じられて面白かったです。

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ちなみに今回の私のピカイチくんはこの下の絵です。「入り江」。素描と転写(?)の2点ありましたがこれは素描の方です。間違いなく入り江です。岩や木や向こうの半島やすごく想像できますし、1本ではありませんが(4本)、一筆書きのような感じで描き上げています。しかもどこも破綻の無いすんばらしいライン。友人のイラストレーター野口さんと語り合いたい。

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展示会は7/31までです。多くの作品を押し込んでるのでちょっと見づらいところがありますが、ぜひ。しかも中は作品保護のために涼しい〜。
http://klee.exhn.jp/
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※イメージは図録および展覧会サイトより。

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展覧会の絵 [アート]

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http://www.cincinnatiartmuseum.org

ムスログスキーの有名な曲の話じゃあありません(笑)。
展覧会の話をたまに載せていますが、皆さんはどのように絵を見るでしょうか?

日本の展覧会でとても良く見る光景は、まず最初の画家の説明文、そして、企画された構成のグループに分けて、その頭にまた説明文があると思いますが、人が群がってじっくり読む姿ですよね。
ダダとかシュルレアリスムなんかは作品自体も難解だから、つい説明文を読んで「理解しよう」と思う心もよくわかります。
作品の時代背景や、作者の人となり、また当時の生活の状態や家族のことなど、画家としての絵に対する姿勢、良く使ったモデルのこと、そのモデルと恋に落ちたり・・・・なんて言うことと合わせて、絵を鑑賞するのは(特に日本の方は)とても文化的で好きなんだと思います。

ピクチャ 2.jpghttp://whitney.org/

でも、絵の見方は見る人の自由ですから、何もみんな同じでなくてオッケーですよね。
私はこんな職業なので、以下のような見方をしています。

1:まず、ざくっと見ます。気になった絵を見つけたら、じっと見ます。そして、なぜこの絵が自分の「心を動かした」のか、理由を考えます。人の気(自分のですが)を引いた理由は何らかの魅力があるはずなのですが、その魅力を「何となく」でほっておかずに、ある程度(自分なりに)認識し、言葉にしてインプットしておくことが、仕事へとつながると思っています。

2:絵は壁に飾って見ることを目的としてるはずです。画家じゃないんで筆遣い見てもわからないし、近くでじろじろ見ずに、ある程度距離を置いて見ることにしてます。(小さい作品はそれなりに寄らないと見えないですが・・)
これには、並んで近くで見てる人の列の外側で自由に見れるメリットもあったりします。

3:気に入った作品は一度最後まで行ったら引き返してもう一度見ます。最初の印象と、一度見たあとに時間が経った場合の印象の差があれば、それを実感してみます。

見方は人それぞれです。自由に楽しむのがいいですよね。
ただ写真家やデザイナーなどはただ見るだけでも脳に組み込まれて自然と役に立つのだと思いますが、さらに効果的な方法もあるんだと思います。自分なりの方法を見つけてみてください。

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テクニカルイラストレーション(大内 誠の世界) [アート]

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テクニカルイラストと言う分野があります。機械の構造をわかりやすく説明するためのイラストというのがオリジナルです。

自動車や船、飛行機などはフォルムと共に中の機構を細かく描写する「透視図」というのでおなじみだと思います。最終的には製品の機械的優秀性をアピールする物なんですが、それだけにとどまらない芸術的要素、また機械好きにはたまらない嗜好的要素にあふれています。

昔は、男の子と言えばみんなメカが大好きでした。時計を分解することから始まって、自転車、そしてクルマへと。それは日本の高度成長と無縁ではなかったはずですが、世界的にメカ好きはたくさんいて、あの現ダライ・ラマでさえ、子供の時は時計の分解組み立てが大好きだったとおっしゃっています。

当然、クルマなどの機械を作っている会社は、自分たちの製品の優秀性をビジュアルイメージでアピールするためにこぞって透視図をはじめとしたテクニカルイラストをカタログ等に採用しました。最初は稚拙な物だったと思いますが、イラスト自体のテクニックも機械の優秀性と同じように飛躍的に向上していきました。
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日本では猪本義弘さんや、ここで紹介する大内誠さんなんかが日本だけでなく世界的にも有名です。

大内さんの作業工程を見ていると、角度を決め、立体を描くための三点透視図法のガイドラインを作り、それにあわせて全体のフォルムを決定し、それから各部分を透視する部分、しない部分に分けながら下絵を起こします。最後に光や影を巧みに使って立体的に、リアルに見えるように彩色していきます。
その行程は気の遠くなるほど緻密な作業の繰り返しで、絵の才能だけでなくコツコツとした作業をこなしていく性格的な要素も要求される、本当に一部の人だけがなし得るフィールドだと思います。

いくつか作品を掲載しますのでお楽しみください。
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最近はクルマのボンネットを開けてもエンジンが見えないようなクルマが増え、メカに興味の無い男の子が増えているように思います。でもこの素敵なテクニカルイラストを一部のメカ好きに独占させておくのはもったいない気がします。

この作品たちを見ていると緻密な物ほど無限に広がる宇宙を感じてしまうのは私だけでしょうか。
私は好きなクルマの透視図を、自分の家に額に入れて飾っています。

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大内さんのホームページにて他の作品も見れます。ぜひ訪れてみてください。
http://home.g00.itscom.net/creasso/ 
※ⓒMakoto Ouchi 不許複製を禁じます。

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和紙に刷る『レンブラント展』② [アート]

恥ずかしながらこのことは知りませんでした。
同じ版を利用して和紙、中国紙、ヴェラム(皮紙)、通常のエッチング用紙と刷り分け(使い分け)たりしていたんです。(途中で加筆などもありますが)

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※1655「エッケ・ホモ(部分)」上から和紙、ヴェラム、西洋紙

見た目にはやはり版画用の紙が一番「ぽく」見えます。それに対して和紙やヴェラムは、吸い込みがあるので墨の線がにじんで見えます。特に暗い部分に関しては、たくさんの線のインクが混ざり合ってより濃い影(闇)になっています。
これがきっと彼が気に入った要因なんでしょう。和紙やヴェラムは非常に高かい上に枚数を刷れないので上顧客、お金持ちコレクター様用、通常の西洋紙はそんな高くないので一般顧客用と考えられているそうです。

イヤー面白いですね。紙によって版画の感じがずいぶん違うのも面白いけど、まず刷り分けてみようと思ったことや経済的な要因もあったりで、ちょっとだけ私たちの数種校正(校正の時に色々な紙を試してみる)にも通じるところがあり大変興味深く思いました。

いずれにしても、今まで線に頼ってわりと平坦ぎみだった版画に絵画的な明暗(キアロスクーロ)を取り入れ、油彩も含めて彼の生涯を通じてそのテーマがぶれなかったこと。それに対して、その表現を追求するために様々な技法を試みた点など、レンブラントという一人の表現者が少し理解できた良い機会でした。
プリントという工程を経ることで表現の幅を広げる・・。きっと今に生まれたら画家以外の道を選んだかもなあという思いがよぎりました。

ぜひチャンスがあったら行ってみてください。

※エッチングと書きましたが、エングレーヴィング、ドライポイント、エッチングなどいくつかの手法を使っています。サンプルはドライポイント(版に直に描く)です。(エッチングは腐食の行程が入ります)
※我々が使う紙の中で、皮紙系は「サンダースベラム」、「シープスキン」、「羊皮紙」などの疑似皮紙があります。和紙に近い紙と言うと「新局紙」などが代表ですね。

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コントラスト『レンブラント展』① [アート]

「よしブログ書くぞ」って気分に中々なれませんが、仕事も滞り気味なことをいいことに休日では大混雑であろうレンブラント展を平日の午前中にちょっとかじってきました。

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みんな大好き「レンブラント」です。あまりにも有名な「夜警」を思い浮かべますが、今回は彼のワイフワークだった版画を中心とした展覧会です。あの大きなキャンバスの堂々とした油絵を期待していくと「あれっ」ってなことになりますが、私としてはかなりいい展示だと思いました。特に写真家やイラストレーター、アートディレクターの方には見ていただきたいです。
※上:1659「髭の老人」こんな感じで他の国に行って味のある老人を写真家は良く撮りますよね。

もちろん油絵もあります。光と影の魔術師なんて言われてますが、実際には絵を印象的に見せるためのものだと思います。
印象づける物によって、光のあたり方や、明るい部分の面積をコントロールしています。大いなる闇は、光るにあたる部分を引き立てるための重要な要素です。絵画というのは対象をうまく書く物ではなく(それは挿絵や図録です)、四角い画面の中でいかに世界感を表現できるかですが、彼の絵を見るとそれが非常に良く理解できます。
とにかく「絵がうまい」「絵を描くのが好き」「きっとちょっと頭がいい」が今回感じた最初の印象です。

特に油絵に関しては非常にきちんと描いています。しかしながら彼は「エッチンガー(ⓒbirdland)」なんですね。版画ものはライフワークで、非常に数も多いようです。その中には“ちゃいちゃい”と描いた物から、“描き込んじゃうぜ”と言った物までさまざまです。

※1656「弟子たちの前に現れるキリスト」ちゃいちゃいバージョン
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※1648「病人たちを癒すキリスト」しっかりバージョン
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ちゃいちゃいバージョンには特に彼の絵のうまさがかいま見られます。きっとかなり短時間に仕上げてるんでしょう。見たものや、創造した物をさらっと絵として定着できる人は本当に絵がうまい人です。

また版画は、複数種類の紙にプリントしていて、これは明日また書きますが、自分の思い入れと顧客の懐具合(上顧客かカジュアルな顧客か)を、両方満足させられる方法論で、実にけっこう商売人(笑)な側面も・・・。

ちなみに結構すまして(格好つけて)帽子をかぶってる肖像画を良く描いてますが、実際の彼はきっとこんな感じ(自画像)だったと思います。(予想)
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ちょっと身近になったとこで明日に続きます。
(いま、諸々の影響で、閉館時間が早まってるようです。行かれる方は要サイトチェック)

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絵本などを中心として活躍されているアーティスト「ツペラツペラ」 [アート]

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12月に入って、仕事が重なってしまい、うまく更新できずに申し訳ありません。

今やっている仕事の絡みで、イラストレーターを捜していたら、素敵なアーティストに出会いました。
「tupera tupera(ツペラツペラ)」さんです。

亀山さんと中川さんというお二人でユニットを組んでおられます。
基本は切り絵を使った作品で、他にも転写や立体など色々な面白い手法を試してるようです。
最近のイラストレーター、アーティストはぱっと見ただけでは、日本の方なのか海外で活躍されてる方か分らない素敵なアーティストが増えてきましたが、このユニットはまるでヨーロッパのアーティストと間違ってしまうようなセンスが、非常に魅力的です。特にサーカスを主題にした絵は自分にはまったくない感性で描かれていて、とても印象的でした。

現在、渋谷の東急百貨店のクリスマスのキャンペーンアートを担当されてるので、東急百貨店に行くと見れます。

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今、乃木坂で個展をやられています。お時間のある方はぜひ行ってみてください。かわいい絵本や、オブジェクトも購入できます。
期間:2010.12.14(火)〜12.26(日)12:00 - 19:00 ※月曜休廊   ※25日26日は18:00まで
会場:ギャラリー東京バンブー 東京都港区六本木7-4-14乃木坂スタジオ2F Tel. 03-3405-0556

サイトもかわいくて素敵です。
http://www.tupera-tupera.com/

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