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色の話(2) [カラー]

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日本のグラフィックデザイナーが通常の4色印刷(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック・)以外の色を使用するときに、DIC(元大日本インキ化学)かTOYO INK(東洋インキ)の特色見本から選んで使用します。
ロゴやマークを作ったときには、どこで使用しても同じ色になるように必ず色を指定しますが、現在はインターナショナルで取引や販売をされている会社が多いので、一応世界基準であるPANTONEという色見本から色を指定する事が多いですね。
PANTONEは、マット紙、コート紙、非コート紙の3種類での見本が出ていて、紙の質によって変わってしまう色が、見本を見ながら選べるところが利点です。
この色見本、何千色とあるのですが、それでもこの番号とこの番号の間くらいが欲しいという事がよくあります。そんなときには印刷会社によってはそこの職人さんが配合表と照らし合わせながら色を練って作ってくれる場合があります。昔はそれこそそんな職人さんは一杯いらっしゃったのですが、今はなかなかそういう職人さんを抱えている印刷会社も少なくなりました。配合表に書いてある「色の元」の知識と信頼できる職人さんがいれば、かなり自由に出したい色をコントロールする事も可能です。
ところで、ご存知だと思いますが、DICには「日本の伝統色」「中国の伝統色」「フランスの伝統色」というのがあって、それぞれ色にその国特有の名前がついています。これが楽しい! ずっと見ていても飽きません。その色の由来である「何か」が色の名前になっているのですが、たとえば、利休白茶、蘇芳色(すおう)、シャンパーニュ、牙黄(ヤーホワン)・・・う〜ん、趣がありますねえ。
特に日本の色の場合は古くからある名前がほとんどですが、いろいろな本などを見ると同じ名前の色でも濃淡や色調が微妙に異なっていて、そこはまた今の正確さだけが重要視される社会ではない「色の範囲」が感じられて面白いです。

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今、季刊出版物である三重県刊の「地域政策ー三重から」の表紙のお手伝いをしていますが、日本の地域発信という事で、ずっと「日本の伝統色」を表紙の色として使用し続けています。

色好きのためのサイト。色の組み合わせをテーマ別に、アドビ製品用。
http://kuler.adobe.com/#

色の話(1) [カラー]

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皆さんもご存知のように、デザイン、アートと「色」は、切っても切れない関係にあります。色は心理学的にそれぞれ人に及ぼす影響がある程度はっきりしていて、色彩学という学問にもなっています。そのほとんどが自然界にあるいろいろな色彩から来ていて、例えば「緑」と言えば木の葉の色がまず一番に思い出されますが、色彩学的にもくつろぎや、新鮮さを想起させる色です。

naturalcolor.jpg

逆に黒やグレーなどは、色彩と言う概念をあえて拒否したかのような色で、それによって温度の無さや、(色を拒否する)反発によるかっこうよさ(クール感)などが表現できます。黒い革ジャン、反社会的っぽくて格好いいですよね。また私の若い頃、川久保さんの「コム・デ・ギャルソン」のデザインした圧倒的な黒は、わりと黒に親しみのあった日本人も、あでやかな色彩を得意としていたヨーロッパの人も衝撃を覚えた事をよく覚えています.

私が以前ご一緒させていただいた色彩学の専門家は、ヨーロッパの大きな工場を持つ会社の依頼を受け、仕事場や食堂、会議室などの壁をそれぞれ心理学的な観点から塗り分ける事で、会社全体の仕事効率アップや、ストレスフリーを達成されたそうです。
いずれにしても色彩計画はアートディレクション的に非常に重要な事柄のひとつです。マークやロゴタイプは非常に直接的に、ポスターや広告は全体の色調や、ポイントとなる色の選択など総合的にかかわってきます。よく「どの色にしようか悩む」と言った事を聞きますが、色の持つ意味や、及ぼす影響、色の相性などを知っていれば、わりと計画的に決定する事が可能だと思います。

ところで今日はパラグアイ戦。「侍ブルー」は、世界的に有名になりました。
でも青は攻撃的と言うより冷静さや理知的な、信頼感などの色として知られています。冷静さやクレバーな作戦の中に熱い気持ちを持ってがんばって欲しいです。

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文字の間隔 [文字間]

文字の間隔がけっこう大事です。
文字の「間隔」で、同じコピーでも伝わる「感覚」が微妙に異なります。

文字間.jpg

「おもい」(想い)を例にしました。上のは何か切羽詰まった強い想い、下はぼーっと遠い将来に対するはかない想いって感じに見えませんか?
さらに書体を換えるとよけい差がはっきりします。コピーと文字間と書体の組み合わせで、写真や背景がなくてもかなりの感情が表現できると思います。

文字間2.jpg

また、文字の間隔をある程度設定したら今度は、均等に(見える)きれいな配置をしなくてはいけません。日本語の文字ってけっこういろいろな形があって、例えば「く」というひらがなと「間」って漢字ではずいぶんと左右の幅が違いますよね。
コツは横書きなら、その文字の左と右の文字のちょうど中間にその字が位置して「見える」ようにすべての文字を組んでいく事です。丸かったり四角かったり懐が深かったり浅かったりしても、そのように文字を組む練習をすると、見る目も養われるていくし、きれいに文字を組めるようになります。

文字詰め.jpg

得てして、デザイナーの方はかっこうよく、できれば文字なんかないほうがいいくらいの感じでニュートラルな書体で小さくまとめてしまいがち。そこは目的意識を持ったアートディレクターが正しい書体、字間が使用されてるかチェックする必要がありますね。

以前、有名なアートディレクターがテレビで、キャッチコピーの最後に丸をつけるかどうかもアートディレクション判断だと言っていました。まあ、今コピーの句読点はコピーライターが意識を持ってつけたりつけなかったりしているので、こっちで勝手につけちゃったりとっちゃったりすると怒られますが(笑)
つまりそんな些末な事柄もアートディレクションとしてとても大切だと言う事ですね。

タグ:字間
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海外ロケ(1)

不況になってからめっきり減りましたが、私たちのような仕事をしていると「海外ロケ」ってのがあります。もちろん、こちらからプレゼンテーションをして案が通る場合と、最初からクライアントに依頼される場合などがあります。
やはり、日頃見慣れた風景ではない画像が背景にあることで、他に対して差別化になるし、現地でさらに発見もあり、良い仕事になる可能性があります。また、車のCMなどに携わってる人は、発売前の車を日本で晒す事はできないので、自ずと海外ロケが多くなりますね。
ロケの間は、私たちは、だいたい現地コーディネーターがつきますので、個人旅行とは違う濃い体験ができる事が副産物です。たとえば普通旅行では行かないような場所に行ったり、現地の人しか入らないような食堂に行ったりなどなど。

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数年前にフルーツを扱う大手クライアントの仕事で「ミンダナオ島」に行く事ができました。太平洋戦争時には終戦まで日本軍の戦地だったあのミンダナオ島です。多分普通の人が旅行先にミンダナオを選ぶことはほとんどないじゃないでしょうか。逆にこの会社のように自社農園を持っていたりすると、社用で何回も往復する社員の方もいらっしゃるはずです。場所によってテロがあり、あまり治安のいい場所ではないので撮影中には銃を持ったガードマンと一緒でした。

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現地では有名な「バナナ」農園がたくさんあります。高地の比率のとても高いミンダナオ島では甘いバナナが採れます。日本や、韓国、中国のバナナのほとんどは、この島で採れたものが供給されています。(たぶん)
また別の地域では、パイナップルを栽培しています。バナナにしてもパイナップルにしても畑の大きさは半端じゃなく、地平線までバナナやパイナップルしか見えない景観は感動的ですらありました。

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もうひとつ感心したのが、個々の人々の生活水準は非常に低いのに、教育にとても力を入れてるなと感じたことでした。学校もたくさんあり、ほとんどの大人がよれよれのTシャツに短パンなこの島で、一番ちゃんとした格好をしてるのは制服を着て学校に通う小さい学生さんたちでした。

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Photo by KOJI ISHIZAKI

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料理写真 [写真]

プロのカメラマンで、広告などの仕事をしている人たちは大きく分けて、人物をメインに撮影する人、ものを撮るのを中心としている人に分かれます。(もちろん両方撮る方もたくさんいらっしゃいます)でも「食」に関しては、それだけを中心として撮っている方々がいます。まあそれだけ専門的な知識や経験が必要な分野ですし、「食」の撮影というのは日々いろいろなところで、たくさん行われているんでしょう。

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以前は、それこそ撮影用の料理を作っていました。たとえば全然火が入ってない美しいカットのジャガイモや人参たち。1本1本先の細い箸できれいに並べられたそうめん、テカリを出すために油をこってり表面に塗られた食材など。湯気を出すために冷蔵庫のような極寒のスタジオで鍋物なんかを撮ったりもしていました。コンピューター合成などない時代の料理写真は、さながら美しいひとつの作品としての緊張感にあふれていました。

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しかし、海外の食やライフスタイルを扱う雑誌などで、もっとカジュアルな明るい、ピントの浅い(ピントが狭い場所に合っていて、前後がぼけている)写真が出始めて、日本でも多くの料理写真がそのようなテイストになっていきました。料理もプラモデルのような作られたものではなく、もっと自然な姿で、もちろんそのまま食べられるものを、なるべく作り立てのおいしそうな瞬間にさっと撮っています。これはこれで、非常に見る人の感覚に近く、また浅いピントによる空気感もあって別の意味でシズルがあります。

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私がよく撮影をお願いしている料理カメラマンがブログをやっています。
http://fotorecipe.exblog.jp/

彼に、「なんで料理のカメラマンになったの?」と聞いたら「料理や食べる事が好きだから」う〜ん簡単明瞭、納得の答えです。「だって女性を撮る人は女性が好きだからでしょ?」たしかに。

タグ:料理写真
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夕焼けは好きですか?

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ちょっと固い内容ばかりだったので、軽く「夕焼け」の話でも。
夕焼けが好きです。
最近同じマンションの違う部屋に越したんですが、前の部屋が表参道ヒルズより少し高い位置にあって非常に眺望がよく、よく夕焼けの写真を撮っていました。夕焼け評論家として有名な油井さんを始め、夕焼けの好きな人はとても多いんではないでしょうか。
いろいろな夕焼けのバリエーションがあるのですが、とても晴れた割と空気のきれいな日にできる、上空の「空色」から、地平線の「オレンジ色系の赤」に至る、わりと普通の夕焼けがありますよね。昔、あの少し赤みの入ったブルーである空色と黄色みの入った赤である地平近くの色のグラデーションの接点にあたる色ってなんなんだろうって、ずっと観察してた事がありました。
色彩的に考えるとわりと「?」なグラデーションで、「紫」?とか考えがちなんですが、答えから言うと「白」でした。しかもまばゆいばかりの白ではなく「ぼーっとした白」って感じです。いわゆる光の三原色がすべて重なった部分に近いのでしょうが、空全体にはうす暗い状況なので、「ぼーっとした白」なのかも。
その事に気づいた後にパウル・クレーの展覧会に行くチャンスがあり、クレーの作品の中にも夕日を帯のグラデーションで描いてる絵があって、同じように接点の色として「白」の帯を発見したときには、ああやっぱりそうなんだなとうれしさを覚えた事がありました。
職業、専門的側面からものを見直す事は(今回の場合は「色」)ちょっと深く突っ込んだ感じになって、これはこれで楽しいものです。

タグ:夕焼け
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素晴らしい本を紹介します。

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コーポレート・アイデンティティ、一般に「CI」と呼ばれています。「ああ、あの企業がロゴとか替えるやつだよね」なんていうのが、一般的な認識かも知れません。
ここでご紹介する本は「CI」といえば「PAOS」と言われている、業界では超有名な会社の設立者にして代表をされている中西元男さんの書かれた「コーポレート・アイデンティティ戦略」です。知人を介して知り合う事ができ、先日には事務所にも呼んでいただきました。
NTT、ベネッセ、ケンウッド、INAXなどを手がけられた実例もさることながら、コーポレート・アイデンティティとは、企業の奥深く本質にまで入り込み、その企業そのものを蘇生させ、更なる高いステップに移行するための、それはそれは気の遠くなるような作業だと言う事がよく分かります。
それぞれの企業に合わせた考え方やデザイン作業はひとつとして同じものはなく、緻密でありながら、最良の答えに行き着くための愚直なる発案・検証の限りない繰り返しでもあります。もちろん、それこその当然といえる素晴らしいベネフィットを企業にもたらすわけですが、私が感じたのは、「デザイン」という事を基盤にして、これだけの事が成し遂げられるんだ!という「パワー」、そしてデザインの持つ大きな波及効果です。これはこういう事を職業に選ばれた方全員に、きっと大いなる力を与えてくれるはずです。
中西先生もおっしゃっていましたが、今は、まるでキャンペーンのようにロゴを換えたり、きちっとした概念や目標値もないままに簡単に「CIのようなこと」をやる企業も多く見られます。これは僕たちにとってもまるで「将来の希望が持てずに覇気のない現代」を想起させる、憂慮すべき事なのかもしれません。読むべし!

アートディレクションって何?その2

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私たちの作るものって、ひとつの伝達媒体です。作ったものが、私たちが隣にいなくても、見たすべての人にコミュニケートしなければいけない。そしてターゲットと思われる人には、より感じてもらわなくてはなりません。アートディレクターは、ビジュアルが(コピーなどと相まって)より効果的に作品がしゃべってくれるように、デザイナーやフォトグラファー、イラストレーターたちに矢印を示します。矢印の示し方は、一緒にやる人や、目的により臨機応変です。時にはデザイナーに対して、「今回はデザインをするのをやめよう」なんて。文字は伝達手段としてとても直接的だけど、ビジュアルは感覚的だから、うまくすれば言葉よりも伝達速度が速い事もある。うまくしゃべってくれたら、うまく人々の心を動かせたら、サイコーです。(私のブログのタイトルはこんなところから来ています。)
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アートディレクションって何?

direction【名】
●管理、運営
●指図[命令]すること
●方向、向き 道案内
●〔人の〕目的意識、目標
●監督をすること、指揮

direction.jpg
もちろん、ADが100人いたら100人の考え方、やり方が有ると思います。でも根幹部分はたぶん一緒かな。
”Direction”と言う言葉には監督、指揮、運営などの意味が有るのはよくご存知だと思いますが、同時に方向、目的意識なんて意味もあって、その方が、実際に近いかもしれません。
私たちはアーティストではないので、大部分において、商業的な要因が絡んだ事が始まりです。商品を売りたい、売れるものが作りたい、売れる場を作りたい、会社のイメージを上げたい、世に知らしめたい・・などなど。
クリエイティブディレクションでは、誰に、何を、いつ、どんな風に、どんな媒体で、などを基本として、「あっと言わせたほうがいい」とか、「じわじわ浸透させていきたい」とか考えるわけです。実に広いジャンルで大きな矢印を作ります。アートディレクターもコピーライターも基本的にその矢印を、どうしたら一番効果的に設定されたターゲットに対して見せる事ができるのか考えて「形にする」作業をそれぞれの仲間と行います。実際のクリエイティブ作業の始まりです(つづく)

はじめに

表参道にあるデザイン/企画会社でアートディレクター/クリエイティブディレクターをやっている私が、仕事上や、日常で感じた事を気軽に書き留めていこう、うまくいけば、若いデザイナーの方やアートディレクターを目指している方の参考になればいいな、なんて考えています。続けていくためにも、全然ためにならない話も含めて、気分次第で書いていければと思います。
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