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書体の話1 [グラフィックデザイン]

皆さんは書体をどのような基準で選んでますか?
書体は非常に大きくわけて、明朝体(ローマン体)、ゴシック体(サンセリフ)、筆記体/筆文字系(スクリプト)、それ以外に分けられますね。(括弧内は欧文)

ところで、なぜひげのないシンプルな書体をゴシック(ゴチック)と呼ぶのでしょうか?
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本来ゴシック様式とはゴスロリとかに使われるように、非常に装飾的な古い建築様式のことで、決してシンプルではありません。本来ならひげがいっぱいあっても良さそうです。
どうやら「ゴシック」とはもともと蔑称のようで、ローマ帝国を破壊したゴート族(ゲルマン人)に由来するようです。(ゴート族風の=ゴシック)
サンセリフ体(ひげ(セリフ)の無い書体)はローマン体に比べてあまり好かれていなかったようで、当初はグロテスク(奇怪な)と呼ばれ、その後“ゴシック野郎の”とこけにされっぱなしです。まあみんな嫌いなダサイ書体って感じでしょうか。(参考:Wikipedia、Dtpedia)
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現在はゴシック体は非常に洗練されて、多くの書体が存在し、明朝体系列よりもモダンな印象があります。また太く強くするのに明朝体では限界がありますが、ゴシックではかなりのところまで印象を強くすることが出来ますね。
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細いゴシックはモダンで洗練、太いゴシックは強く印象的。まさにゴシックの使い道はそこにあります。欧文だと「ヘルベチカ」というスーパーベーシックがあります。原点的ですが、破綻の無い美しいゴシックです。

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対して明朝はやさしく人間的で、また情緒的です。やさしく、人の気持ちに訴えるようなキャッチコピーにはぜひ使いたい書体です。また長文を組んでも控えめな印象があり、全体に非常に上品に、日本人好みに仕上がります。
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当然ながら、双方の中間的みたいな書体無いのって人のために欧文では「OPTIMA」和文だと「フォーク」なんかが用意されてます。


書体選びはもちろん好きずきの要素が大きいですが、昔から使われている基本書体の良さ、なぜ多く使用されてるかをきっちり認識した上で、TPOに合わせて他の書体も使い分けてみて下さい。でも結局基本に戻ったりするものです。
今日はさわりの部分って感じですが、また深い内容は後日やります。

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「カメラマン」山田修二さんの話を聞く [写真]

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前出の中西さんよりお誘いを受けて、中西さんを中心として桑沢デザイン研究所で運営されている第4回 STRAMD&JDB 特別公開講座に行ってきました。
場所は、最近行くことの多い六本木ミッドタウンのDESIGN HUBというスペースでした。

山田さんに関しては有名人なのでサイトにプロフィールが有ります。
http://www.awaji-ibushi-tiles.jp/yamada/

山田さんはノンベなので、お話の1/3は飲みの話でしたが、プロジェクターで映された1960年代から現代までの日本各地の写真は、すべてモノクロームで独自の視点で撮られた、何だろう・・ちょっと人にはまねの出来ない感じの写真です。何気ないシーンや風景、時間や、人の表情にはっとさせられます。
非常にコントラストが強く、特に暗部が多い写真で、山田さんもお話の中で、「僕はとても黒く焼く傾向が有る」とおっしゃってました。ある時期は建築写真の第一人者でもあった山田さんならではの光と影による自然や、家の屋根や、群衆は印象的で、アーティスティックです。
でもなんか言葉にすると陳腐な感じがしてしまいます。感性の人だからでしょうか。私の未熟ゆえかもしれません。でも知識も非常にあって、きちんと計算されてる部分もちゃんと見えました。

平凡社から出た写真集を買いました。
http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/viewer.cgi?page=browse&code=277078

山田さんの瓦が(ただの瓦じゃないですが)、ネット通販で買えるようです。
http://item.rakuten.co.jp/kawaramasa/c/0000000135/

以前はデザインもされたし、商業用の写真も撮られたし、今だって瓦を作って売られてるんですが、なんかそういう商業的なものから離れた別のところにいる印象の人でした。

表紙の画像は平凡社ホームページより転載

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定点撮影(写真集の紹介) [写真]

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好きな写真集「RICHARD MISRACH」の「GOLDEN GATE」を紹介させてください。
少し前に手に入れた写真集で、「リチャード・ミズラック」は、風景写真というよりは「おおいなる地球を撮っている」と言うべき写真家です。
http://www.edelmangallery.com/misrach.htm

定点撮影は最近とても流行っているようで、あちこちで紹介されてますね。スカイツリーの定点撮影に挑戦されてる方も数多くいらっしゃるんではないでしょうか。
尊敬するパオスの中西さんも、ずっと昔の新宿から現在に近いところまでを撮っていて、テレビで引っ張りだこのように紹介されていますね。素晴らしい先見の明と言うべき記録ですが、低い建物しか無かった新宿が、やがて都庁などのスカイスクレーパーたちに占拠される様は、いつ見ても驚きを持って人間のすごさ、限りない欲望を感じます。
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対してリチャードのこれは、遥か向こうに見えるゴールデンゲートブリッジが唯一の人間の造った建造物で、しかもほとんど変化がない。これ自体に時間の感覚がまったくありません。その代わりに、写ってる雲や、空、海などの自然はひとつとして同じものが無い、常に「移ろいゆくもの」です。ここからは地球の悠久の時間の一部を切り取ったような、人間の手の届かない遥かなる感覚があります。

彼については、調べてみると他にも何人かがブログに書いているようです。参考にしてみてください。値段は安くないですが、いつも飽きずに見れる写真集の筆頭です。

素敵なキャッチフレーズを作るために(2) [クリエイティブ]

マニアックでさほど読者の多くない私のブログの中で、いちおう閲覧数を見てみると、結構このキャッチフレーズの項が成績良かったので、困った時の友人頼みで、前のもの以外のノウハウを掲載させてもらいます。

最近ウェブの作業で、クライアントが求めてるものを良く聞くと、いわゆる「ライター」と呼ばれる、雑誌などの文章を主に専門にしている人の書くような文章だったんですが、そうとは知らずに作業をお願いして、「コピーライター」と「ライター」の違いが結構良く分かりました。
コピーライターの書くコピーはやはり短くとんがっていて、人の印象に残る、消費者と彼らが読んだ後にどう深く根ざして効果を発揮しているかを見ています。ライターはもっと分かりやすく、読者がその長い文章を飽きずに読んでもらうため、スムーズで楽しく読める文章を書きます。(私の感想です。いろいろなタイプが有るかと思います。)
コピーライターの方が「翻訳、意訳感」が強いので、自分の言で語りたいこだわりのクライアントの中には、コピーライターの文章を自分の言葉と思いづらい、違和感を持つ人がいるのもまた事実です。

それでは、コピー指南を。

【06】その商品を使っている状況を想像。商品自体を訴求しない切り口が見える。

【07】電車の中、歩いている時、お風呂の時。ペンが使えない状況で考えてみる。

【09】リアリストである。ロマンチストである。ときには、テロリストでもある。

【10】短く書くクセをつけない。長文を短くしてゆく。小説のタイトルのように。

【12】業界コピー単語だけで決してつくらない。まず、形容詞を使わずに考える。

【13】話し言葉キャッチは、ゆるい。間違いである。視点が鋭ければ、成立する。

どうでしょう、前述した内容が10番、13番あたりにも感じられますね。7番、9番あたりは、アート系の人も十分使えるネタです。

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※ 画像は仏像展を見に行った金沢文庫の称名寺です。金沢文庫が中にある名刹で、大きな池が有り、美しく和みます。池の中は大量のカメですが、どうやら最近問題の「緑ガメのでかくなったやつ(外来種)」のようです。昔は日本のカメもいたんでしょうが、今はこいつらばかりです。寺ですから駆除ってわけにもいきませんよね。(でもいいところですよ)

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POP ART展 [アート]

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こちらから横須賀美術館のホームページへ

連休のうちの一日で横須賀美術館の「POP ART展」に行ってきました。
世の中の美術館がわりと今、印象派あたりを中心としている中で、前回のブルーノ・ムナーリ展といい、今回のものといい、この美術館は独自の道を歩いております。
ちょっと交通の便が悪いのが難点ですが、その分オーシャンビューの立地を活かした「観光」的要素も併せ持った美しい施設です。

さて今回はポップアートですが、まあどこまでがその範疇なのかは難しいところで、今回も典型的なものからモダンや前衛的なものまで展示してあるような気がします。その中でもウォーホルやリキテンシュタイン、キース・ヘイリングなどは、同時代を生きて来た有名ポップアーティストとして、見やすく、シンパシーを感じました。
アンディーは今までの自然や人物、抽象などのモチーフ、1点ものを制作する作法から、大量生産のアイテムをモチーフにしスクリーン印刷と言う複製の出来る(大量生産に似た)方法論でアートを作った、その既存からの脱却の概念が素晴らしい。まさに驚きと評価を得た理由だと思います。
また、フィギュアやキャラクターをアートに昇華させた日本の有名なアーティスト村上氏の考え方は、アメリカンコミックをアートに仕立てたロイ・リキテンシュタインのそれに通ずるものでしょう。まさにポップアートです。

誰でもコンピューターひとつでデザイナーになれるように、誰でもアーティストになれる時代です。しかしそこには、「概念そのもの・考え方そのもののアート、ブレークスルー」が重要な気がします。さらに継続、進化していくことも非常に大変で重要なことに思います。

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印刷刷り出し立ち会いに行こう。 [印刷方法]

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入稿もデジタルデータになり、印刷もデジタル対応になり、校正もDDCPなどの出力紙になって、昔のように何回も校正を出すことも少なくなりました。
DDCPは、最終的な印刷機で同じように印刷できるようプロファイルによって管理されていて・・・というのが一応印刷屋さんの口上ですが、実際には同じようには上がらなかったりしませんか?

それは当然なんです。なぜならDDCPと本紙は材質が違うし、実際の印刷と出力は再現方法が違います。そこのところの最終判断&調整は、「人間が」しています。
もちろん本紙校正を出せばいい話なんですが、それでも最終の印刷になって、校正紙と照らし合わせてやはり「人間が」最終判断します。
最終判断する人はベテランの職人です。ただ、人間なので、迷った時に今までの経験から答えを出して行きます。今までやった仕事が「浅い!」と文句を言われた経験が多ければ、必然的に「濃く」してしまいます。もし「軽く」が大事で、そのことを意識して校正をしたのに、最終的に「濃く」なってしまうと悲しいですよね。

また、きちんと本紙校正をしても、予算とスケジュールの件でどうしても満足できないまま印刷に向かってしまうことも有ります。そんなときには、印刷所での「刷り出し立ち会い」は、最後の調整チャンスです。
オフセット4色機には、最終的にインクの料を調整することが出来ます。さらに紙の流れる方向に帯状に部分的な調整も可能です。
おまけとしては、印刷所に行ったことの無いデザイナーも多くいると思いますが、こんな風にやってるんだという勉強にもなるし、印刷のことについて、現場の人にいろいろ質問して必要以上の知識をつけられたりしますよ。

最終仕上がりにこだわる「できる」デザイナーなら、ぜひ「刷り出し立ち会い」考慮に入れてみてください。
※ 但し、実際に他の印刷物も隣の機械で刷ってたりします。物によっては(発売前の商品のカタログなど)、守秘義務の問題で断られる場合も有ります。

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今日行って来た印刷所にて。今日はオフリン(オフセット輪転機)でした。輪転機は通常の平台に比べて印刷速度がとても速いのが特徴です。数の多いチラシなどに良く使われます。最初の写真はインク濃度の調整台です。

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週刊誌の中吊り広告 [メディア]

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今やTVを見ない人が増えて、さらに見る人も文明の力を利用してHDに録画し、その時にCMをスキップしちゃったりしますよね。えてして広告ってあまり歓迎されない存在です。
実際は民放や雑誌などは広告収入で存在してると言ってもいいでしょう。昔あるタレントがCMの間にトイレに行っておいてと言って、広告主に降板させられたりしました。分かっちゃいるんだけど出来れば飛ばしたい。そんな広告にあって、わりとみんなが見ちゃう希有な存在と言えるのは「週刊誌の中吊り広告」ではないでしょうか。

確かに、通勤電車の中で新聞も読むスペースも無く数十分もジッとしていなければならないという特殊な環境も有ると思います。でもやっぱりあの、「社会の小窓」とでも言うべきネタと内容には、多くの人が野次馬心をくすぐられているはずです。 雑誌を皆買えるわけではないので、結構中吊りだけで情報仕入れた気になっちゃうんですが、やっぱり気になる内容のものは購買につながりますよね。

文章(コピー)的には、「文字数」が最大の鍵になると思います。紙面の短い辺に縦に文字を組んでいく中で(横組も有りますが)文字を大きくするためには、文字数を絞らなければいけません。無駄を省き、飛ばせたり縮めたりするところは大胆に。しかしその中で人の興味を瞬時にぐっと引き寄せる。すごいテクニックです。
映画のサブタイトル(字幕)も画面をみながら読める文字数というのがあって、その中で、台詞の長さとも合わせて文章を決めていくそうです。戸田奈津子さんが言ってました。

さらにレイアウトに至っては、余白という概念はまったくなく、いかに左右、天地パンパンにレイアウトするかが鍵です。それでも、文字の大きさで隣同士とのメリハリを効かせているのか、読みづらいとあまり思わない。文字数と合わせて非常に特殊なある意味完成されている分野だと思います。我々が格好つけてレイアウトしたものなんか、誰も見ようとしないものになりそうです。
このような特殊な分野に存在する特殊なテクニックがあり、またそれがとても有効に機能しているのが素晴らしい。ひとつの文化だと思います。

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ホスピタリティーと満足感 [スタイル]

今のデザイン会社を始めた当時は、私の他に二人共同経営者がいました。そのうちの一人は、以前私の勤めていた会社に一緒に働いていた、元々音楽・芸能関連の某有名会社にいらっしゃった方で、その当時、企業が音楽などのスポンサーを大変活発にやっていた時代にいくつも一緒に仕事をしました。

今までデザインや広告関連の営業の方ばかり見て来た私には、彼のクライアントや関係者に対する素晴らしい気の使い方と対応を驚きもし、また非常にリスペクトしていました。
当時はいっぱしのアーティストぶって、えらそうに言うだけの私にとって、発注主や関係者を、仕事や様々な気遣いで喜ばせいい気持ちにさせるというのは、疎ましさよりも新鮮で、その後の私にとても影響を及ぼしました。

いいものを作れば、いつもえらそうでいいんだ、分からず屋の発注主には反発していいんだでは、結局満足できるものは出来ません。クライアントや関係者、自分のスタッフを含め自分の世界をうまく演出し、引き入れていい関係を作り、最終的に期待以上の満足感を供給すべきだと思っています。
それは、いつもニコニコへらへら媚びてろということではありません。自分勝手ではない、相手のことを考えた対応。もちろん、クライアントにクリエーターとして厳しい創作活動の結果としての、「予想以上」「うれしい驚き」を与えることが非常に大切です。

(いろいろな状況もあり、とても難しいことですが)一人の世界で作り上げるアートではない故に、自分(たち)の作品を理想的な状態に持っていくためにも必要な要素だと思います。

※サンプルは、彼と一緒に創立一年目に携わった作品です。今では見ない8センチシングルCDのジャケットです。当時は音楽制作も請け負っていました。
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アイディア帳を作ろう。 [クリエイティブ]

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前回に「まねをしよう」で書いたように、何も無いところから素晴らしいアイディアを出すのは至難の業で、やはり優れた過去のクリエイティブを「参考」にしていくことが、自分のクリエイティブの幅を広げるのに必要であると書きました。
そこで「アイディア帳」のススメです。多分作られてる方もいらっしゃるのではないでしょうか。私は、お世話になったクリエイティブディレクターより、「有名なADは、例外無くアイディア帳を作ってるぞ」と教えられました。
昔は雑誌を2冊買ってうち1冊を切り取ったり、カラーコピーが出現してからは、コピーをとったりしてファイリングしました。でも今だったら、スキャナーでビシバシスキャンしてPDFとかで、PCファイルでもいいですね。
人って忘れる動物だから、見返すととても役立つし、自分の好きなクリエイティブの傾向も分かる。時代とともに変化していくものも俯瞰できます。多分、性格的にやりやすい人とそうでない人がいると思いますが、デザイナーやアートディレクターを目指す方でまだ作ってない方は、試して見る価値大です。

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やもり [閑話]

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今日はいつもの話はちょっとお休みして、家のヤモリの話でも。
自然素材で建てた家なので、昔からヤモリが自然と住んでるのですが、この夏は暑いのか、子供が出てきました。調べてみるとヤモリは玉子を一度に2つ生むそうで、まさに、同じ大きさの子供が2匹います。2卵性双生児?「やっくん」「もっくん」と名前が付けられました。
うまく育って小さい虫を食べてくれるといいんですが・・。

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