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中国古来の美しい書体「雅体(みやびたい)」 [アート]

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前回の韓国サムスンのデザインの話題に続いて、PAOS中西さんを中心として桑沢デザイン研究所で運営されている第6回 STRAMD&JDB 特別公開講座に行ってきました。

今回の話題の中心は、今日本は何かと騒がしい中国です。お話しされたのはPAOS上海代表の王 超鷹(Wang Chaoying)氏でした。彼はPAOSの中国のトップとしてのデザインの仕事の他に、中国古来の文字の研究家でもあり、また伝統美術である「切り絵」のアーティストでもあるという多方面でその才能を遺憾なく発揮されている方です。

今日は講義で取り上げられた彼の研究素材である非常に美しい書体である「雅体」のご紹介です。
雅体は古代中国で貴族たちの間で使用された美しい装飾の施された漢字です。見た目は字の元になった象形文字の特徴を残し、特に鳥や魚の形を使用し、美しい曲線と優れた形態デザインにより形作られています。中国各地で、王の剣などに彫られて出土してるようです。

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古代中国の様々な雅体

当時は雅士という専門家がいて貴族たちのオーダーで、雅体を形作っていたようです。秦の始皇帝による中国統一によりその火は消えましたが、王さんの手によって美しくリデザインされ、紹介されたことにより、現在世界中から非常に注目を集めています。すでにロゴマークなどへの使用例もあるようです。
同じ表意文字である漢字を使う民族として、非常に魅力あふれる「美しすぎる」文字に感動しました。

王さんのサイト:彼の制作した中国伝統の切り絵が表紙です。
http://www.ji-bo.com/

文字について
http://www.ji-bo.com/yd_index.htm

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現在使われている唯一の象形文字、雲南省ナシ族による「トンパ文字」の研究もされています。
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※画像は王さんのサイトより抜粋

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日本じゃやらないよね。「海外おもしろ広告」2 [クリエイティブ]

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2003年、タイのスープの素の広告です。TBWAのバンコク支社の制作です。

それぞれの「スープの素」が、誌面一杯を使った“箱”の中に入っています。こうやって言葉で書くと、商品そのものですよね。クリエイティブとしては直球です。
そのスープの素が問題です。生きています。生きた動物まんまをぎゅっと箱に詰めて・・・。しかもちょっとニコッとさせてますよね。

これをみて、昔某有名中国系アイドルが日本でハトを見て「おいしそう!」って言ったとか言わなかったとかの話題を思い出しました。そうなんです。中国やアジアの人たちは多分ものすごく長い歴史の中で、ずっと動物を「食べて」きてますから、生きてる動物もイコール「食物」なんですね。「おいしそう」と感じる訳です。

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画像は実際の写真をベース、または部分的なネタとして使ってコンピューターで制作していると思います。かなり高度な技術を使って、繊細に作業をしているところが、この広告をよりインパクトあるものに仕上げています。仕上がりって大事なんですよ。時につまらない案でも仕上がりでいいものになったりします。

明治時代より前、長いこと動物を食べることを表向き禁止して来た日本では、私たちはなかなか生きた動物に食欲を催すように出来てない。人種の違いが生んだ「私たち日本人には」ショッキングで面白い広告ですね。「広告に見るお国柄」好きです。

そういえば、スーパーにもあるチーズ「ベル・キューブ」の笑う牛。こっちもやっぱり日本人の感覚ではどうなの?って思いません。ちなみにチーズはとってもおいしいです。
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TBWAはアメリカの大手広告代理店です。日本では博報堂と合弁会社を設立しています。

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ヴィム・ヴェンダース監督の写真集 [写真]

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ヴェンダース監督と言えば、「パリ・テキサス」「ベルリン天使の歌」で、日本でもおなじみの独特の個性ある映画を撮る監督ですよね。最近(でも11年前ですが)だと「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」なんかでしょうか。小津安二郎監督をリスペクトしてることでも知られています。

この監督、ご存知の方もいると思いますが、写真を撮ります。基本的に旅が大好きな彼なので、風景写真です。2006年に日本でも「尾道への旅」と称された写真展を開いています。尾道と言えば小津作品の背景として有名ですね。
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私のおすすめは1994年刊の「WIM WENDERS FOTOGRAFIAS」です。
パリ、テキサスでのロードムービーを彷彿とさせるアメリカ、特に南部、中部と思われる何も無い風景中心の写真集です。映画「バグダッド・カフェ」のような、アメリカの田舎の乾いた土が舞うようなだだっ広い地域は、日本にはあまり無いだけに、引かれるものがあります。

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ただただ広い風景をパノラミックなディメンションで撮ってるのも、そこにいるような感覚が共有できていい感じです。同時に寂寥感、無力感にとらわれます。

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ヴェンダース監督は旅が好きで、以前NHKの番組に出演してた時に「人生の中で一番幸せな瞬間は、旅に出て、“あっ、道に迷った”と思った瞬間である。」と言っています。つまり、そこからが過去の知識とは遮断された新しい発見があるはずだという期待感なんでしょう。
あまり聞いたことの無い新鮮な言葉ですが、きっと写真もそんな瞬間に出会った時のものをフィルムに収めているんだと思います。

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美しかった「マーサ・スチュワート Living」 [エディトリアル]

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過去形です。
皆さんもご存知のようにカリスマ主婦「マーサ・スチュワート」が株のインサイダー取引で2003年に有罪となってしまいました。素敵な料理、素敵な庭、素敵なインテリアをクリエイトし、紹介して来たあまりにも有名な彼女と、株のインサイダー取引という黒々としたイメージには、相容れないものがあり、強烈なインパクトがありました。

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彼女のことはさておき、以前の「マーサ・スチュワート Living」は、もちろん保守的だけれどとてもオリジナルな生活提案の内容も素晴らしかったけれど、それ以上に非常に美しい写真とレイアウトで独特の世界観を作っていました。

「マリー・クレール」や、「ヴォーグ」「ELLE」なども衣食住系の雑誌を持っていて、それなりに素晴らしいものがありましたが、このマーサのLivingのアートディレクションに於ける独創性と美しさは、一頭地を抜いていました。日本でも一世を風靡した「ピントの浅い明るめの料理写真」もいち早く取り入れていました。

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この雑誌の成功はもちろん彼女の実力もあったでしょう。しかし、これだけの素晴らしいアートディレクション、写真、デザインのスタッフの力が無ければ、他の生活雑誌とは一線を画した、非常に評価の高い素晴らしい成功作にはならなかったと思います。いいものを作ることがきちんと評価されて実利にも結びつく。いい意味でアメリカ的です。(足のすくわれ方もアメリカ的?)

今のLivingは、一時の孤高な感じは見られず、ずいぶん普通になってしまいました。表紙にも影響が見て取れますね(下の画像)。とても残念です。

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sample pictures from "31stpublication design annual" and "Wikipedia"
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日本じゃやらないよね。「海外おもしろ広告」1 [クリエイティブ]

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ちょっと古いけれど1997年の広告です。「Wallis」というイギリスの通販ファッション会社が、推測ですが立ち上がり?の時点で打ったものだと思います。
現在は女性の外出着のウェブ通販会社です。
http://www.wallis.co.uk/
イギリスののBartle Bogle Hegarty(BBH)という広告会社が制作しました。

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強烈です。まあ男子なら誰でも経験があることですが、きっと「いい女」に対する興味の強さは、欧米人は日本の男子以上なのでしょう。男はちょっとゾックリしますが、女性は、こんな風に男子の視線を釘付けにしたいと思っている人が多いんだと思います。

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ポイントはいくら“ジョーク”でも、その先に「死」の見える内容を日本では絶対にやらないと言う点です。「死」に対する感覚も違いますし、「死のイメージ」だけでは規制しようということにはならないんだと思います。
ネガティブではなくジョークだからオッケイなんでしょう。「ジョーク」好きですものね。
Great ADというサイトにも載っているくらい話題になったのだと思いますので、彼らの名前を効果的に売ることが出来た成功作だったはずです。

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ちなみにこの広告会社のサイトも面白いです。
http://www.bartleboglehegarty.com/

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